人口1100万人の国で公務員が300万人もいる国キューバ。一方、共同組合や自営業として働く人口は僅か140万人。
しかも自国で産業を起こすことを怠り、寄生虫のごとく嘗てはソ連、その後ベネズエラからの支援で国家運営をして来た社会主義国の末路が今のキューバの姿である。惜しいかな、カストロ兄弟による革命がなければ、米国の影響下のもと観光国として成長がみられたことであろう。
ところが、現在のキューバは食糧難ですべての物資が不足。公務員の給与は平均してドル換算で僅か22ドル。おまけに停電は頻繁に発生し、それも長時間続く。輸出産業の進展も怠って来たので外貨は常に不足。その影響で、食料の60―70%を輸入に仰いでいるキューバでは外貨不足から国民の生活に必要な食料が輸入できなくなっている。しかも、コロナ禍で観光収入が激減して外貨を稼げる手段も大幅に減少している。
にも拘らず、国家指導者層は比較的恵まれた条件下での生活ができるので、現状の体制を維持しようとして市民の自由を束縛している。政府に抗議すると逮捕されて収監される。これは社会主義や共産主義国に良くあることである。
キューバから国外に脱出しない限りまともな生活はできないだからこのような事情化で一番の犠牲者は国民である。多くの国民はそのような生活に嫌気が刺して機会あるごとに国外に脱出している。脱出者の多くが15歳から59歳までの労働人口を構成できる人達だ。その影響で大学の生徒数も次第に減少している。スポーツ選手の脱出も珍しくない。
キューバ政府は市民による門戸開放への圧力を緩和するのが目的なのか、2021年にキューバとニカラグア政府の間でビザの必要なくニカラグアに入国できるようになった。それを利用して、多くのキューバ人はニカラグアに入国し、そこから米国を目指すという方法が可能になった。
マフィアが絡んでいる道案内人のガイドに8000から1万ドルを払ってニカラグアを起点にホンジュラス、グアテマラ、メキシコを密かに通過して米国の国境まで案内してもらう。或いは、現在注目を集めているキャラバン隊の移民集団の中に混じって米国まで3000キロの道のりを進んで行くのである。