電気バスを用いた大量輸送でセネガルが先陣切る
前述のケニアをはじめ、アフリカ各国で予定されている電気バスを用いた大量高速輸送バス路線をいち早く開通させたのがセネガルだ。
セネガルでは、急速な都市化や自動車が増えたことによる交通渋滞の解消を目的に、2020年に路線の建設を開始。専用レーンの敷設や停留所の建設にかかった年月は約3年、2024年1月に首都ダカールで開通式が行われた。総工費として1,000億円を費やしている。導入されたバスはなんと121台で、毎日30万人の乗客を乗せることを目指す。郊外の住宅地から首都中心部までの全長18キロメートルを45分で結ぶ。二酸化炭素の排出量は年間6万トン削減される。
仏投資会社Meridiamが70%、セネガルの政府系投資ファンドFONSISが30%を出資するスタートアップDakar Mobilitéが、15年間に渡りBRTの運営を担う。
アフリカでは今後ますます都市部に人口が集中し、交通渋滞が激化する。ダカールを先駆けとして、大量高速輸送での電気バスの導入が進むことは必須だ。
スタンダードをみずから作ることが有効。現地政府の最新動向も要チェック
ガソリンやディーゼルを用いる従来の車両と比較して、電気バスは勝者が決まっていないため、現地スタートアップはもちろんのこと、アフリカへこれから進出する日本企業にとっても勝機があるといえるだろう。
電気バスは、車両や走行インフラの規格のスタンダードがまだないといえる。現地政府や民間企業に働きかけ、デファクトスタンダードを作っていく動きが有効だ。アフリカの政府は近年、電気自動車の現地組み立てに対する優遇措置を発表しているため、現地の情報をタイムリーに把握することも競争において有用だろう。
文・藤原梓(アフリカビジネスパートナーズ)
参考
https://abp.co.jp/weeklynews/62320221121/
https://abp.co.jp/weeklynews/666_20231009/
https://abp.co.jp/weeklynews/674_20231204/
https://abp.co.jp/weeklynews/675_20231211/
https://abp.co.jp/weeklynews/679_20240122/
https://abp.co.jp/weeklynews/683_20240219/
≪アフリカビジネスパートナーズプロフィール≫
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アフリカビジネスに特化したコンサルティングファーム。2012年設立。ケニアや南アフリカに現地法人を持ち、アフリカ40か国で新規事業立ち上げや事業拡大、スタートアップ投資に関する支援を提供。スタートアップ関連では、日本企業やCVCに対する有望スタートアップの紹介や、出資の際のデューデリジェンスを中立的な立場から提供している。2022年にはアフリカのスタートアップの調達金額やビジネスモデルを紹介した「スタートアップ白書」を発行。毎週「週刊アフリカビジネス」をメールで配信し、スタートアップの動きを日本語で提供している。