ロシアの首都モスクワ北西部で22日夜(現地時間)ロックバンドのコンサート会場「クロッカス・シティー・ホール」で発生した襲撃テロ事件で死者数が140人となった。ムラシコ保健相が27日、発表した。
実行犯4人はモスクワに移送され、テロ罪で起訴された。テロ現場で2人のテロリストが殺害されていたことから、実行犯グループは6人と見られる。全員が中央アジアのタジキスタン出身だ。事件は実行犯がコンサートが始まる前に会場に突入し、集まっていたファンたちに銃撃し、火炎瓶を投げ、会場に火をつけた。
同テロ事件では、現場から逃走した実行犯がウクライナ方向に向かったという情報が報じられると、ロシアのプーチン大統領は、「テロ事件の背後にはウクライナが関与している」と主張したが、事件当時のビデオや実行犯への尋問などを通じて、ロシア治安関係者は「イスラム過激派テロリストの仕業」でほぼ一致したという。ただし、プーチン大統領は、「大量殺害の命令はイスラム主義者が実行したが、首謀者は別の場所にいる」と強調、依然ウクライナ関与説を捨てていない。
犯行直後、イスラム過激派テロ組織「イスラム国」(IS)がSNS上で犯行を表明した。今回テロを実行したのは、隣国のアフガニスタンで活動しており、パキスタン近くのホラサンに拠点を置いているIS分派「イスラム国ホラサン州」(IS-K)だ。「ホラサン州」は1月3日、イラン南東部ケルマン市で100人余りを殺害、数百人以上の負傷者が出るというテロ事件を起こしたばかりだ。
興味深い情報は、①ベラルーシのルカシェンコ大統領は26日、記者団に、「モスクワ近郊のコンサートホール襲撃事件のテロリストたちはベラルーシへ逃亡しようとしたが、国境検問所があったため引き返した」と証言している。この発言はウクライナ関与説に拘るプーチン大統領の主張とは矛盾している。
②トルコの安全保障関係者らの情報によると、襲撃犯とみられる2人はロシアの首都に滞在する前にトルコに滞在していた。襲撃容疑者の1人は2月20日にトルコに入国し、もう1人の容疑者は1月5日にトルコに入国した。2人は別々の時間にイスタンブールのホテルに滞在し、3月2日に同じ便でモスクワに入ったことが分かっていることだ。