東尋坊の柱状節理。柱状節理、という言葉もブラタモリから学びました。各観光地でも解説で必ず書かれているんですが正直頭に入っていませんでした。ブラタモリだと頭に入る。不思議なものです。どうしてこんな地形ができるのか考えながら旅をする癖がつきました。

岐阜の金華山は固いチャート層が長良川に削られて残ったもの。ここだけがこんもりと高く残った上に固い山であることが好まれて城が建てられました。戦国の大名たちが地質や周囲の地形をよく知ったうえで拠点を構えていたこともブラタモリで知りました。

静岡浅間大社

わたしが8月に住むことになった静岡にもブラタモリは来ていました。観光都市とは言えない静岡ですがその成り立ちをブラタモリは詳しく解説。街歩きにとても役立ちました。

静岡の語源となった賎機山の端に建つ浅間大社。この周りを川がぐるっと回っているという変わった地形です。その地形を生かして一見低地に見えながらも防災上安全な場所に駿河城は作られました。城がある(あった)場所は今も洪水などの被害を受けにくい場所であることが多いこともブラタモリから学びました。

自称「日本坂道学会」会長のタモリさん。坂道も多く紹介されました。東京に5年住んでいたのにその地形には全く興味を持っていませんでしたがブラタモリを見て訪ねるようになりました。東京に住んでいたときにこの番組があったらよかったのに、と思ったことが何度あったかわかりません。

東京都中央区と港区の間にある首都高速道路。その下には銀座9丁目アーケードがあります。ここがかつて両区を隔てる川だったこと、埋め立てられた後今もここは所属が決まらず無番地であることもブラタモリで紹介されていました。

そんな雑学があると街歩きも楽しくなりますね。知らなければ何事もなく通り過ぎてしまいます。ブラタモリは私の旅をより深いものに変えてくれたかけがえのない番組です。

4月から完全にこの番組がなくなってしまうのかどうかはわかりませんが、毎週土曜日の楽しみがなくなってしまうのは寂しい限りです。

ただ、ブラタモリを通じて教えられた新たな旅の着眼の仕方は失うことはないと思います。その土地の成り立ちを知り、地形を知り、歴史を知りながら訪ね歩く。そんな旅をし続けることでブラタモリは私の心の中で生き続けます。

いままでありがとう、ブラタモリ。

編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年2月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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