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走りに走って今でもまだ走っているスターレットの最終モデル
キーワードは「かっとび」でも「青春」でもなく…「安全」
走りに走って今でもまだ走っているスターレットの最終モデル
今もWRC(世界ラリー選手権)で戦うヤリスの前身、「スターレット」…1960年代に生まれた国民車パブリカを起源にその上級車種として1973年に登場。
ツーリングカーレースでB110サニーと激闘を繰り広げ、ワンメイクレースや各種モータースポーツで活躍しつつ代を重ねましたが、1996年にモデルチェンジした5代目P90系がついに最後のスターレットとなりました。
4代目P80系以降なら今でも現役チューニングカーとして走る姿を見ますが、もっともお世話になった、「30~50代のクルマ好きが気になる名車」としてMOBY編集部がAIに聞いた結果ランクインした歴代スターレットの、今回は最終モデル、5代目P90系を紹介します。
キーワードは「かっとび」でも「青春」でもなく…「安全」
1995年12月25日のクリスマス…1996年1月の発売を前に発表された、トヨタの5代目P90系スターレットの発表会で、驚きの新技術が発表されました。
衝突安全ボディ「GOA」(ゴア)。
不幸や力及ばずの結果として避けられない衝突事故、その被害を軽減するための安全ボディは何も目新しいものではなく、トヨタでも1990年代に入って「CIAS」(サイアス)という衝突安全構造を導入していましたが、GOAのデビューは全く次元が違います。
その当時、トヨタでもっとも安くて小さなコンパクトカー、つまり「事故ったら運がなかったと思え」と言われておかしくないようなクルマが、新時代の衝突安全ボディ第1号となったのですから、もう大騒ぎです。
それまでのスターレットといえば、パワーはなくても後輪駆動で鳴らした初代や2代目、新世代エンジンと後にはターボ化され、「かっとび」「韋駄天」と呼ばれた3代目、全車ハイメカツインカムでターボ車のパワーが強烈だった4代目「青春のスターレット」。
どちらかといえば若い男女が免許取り立てで無謀に駆け回り、いつしか運転を覚えていくクルマの代表格でありましたが、そんなクルマが、否、そんなクルマだからこそ真っ先にGOAが採用されたのです。
バブルの狂乱も猛烈な不景気で国民の目が覚めると、小さくて安いクルマで元気よく走り回る時代は終わりつつあり、時代は「安全」を求めていました。