車の運転には責任がともない、とくに事故の際には相手方に大きな被害を生じさせることがあります。それゆえ一般に、「任意保険への加入」はドライバーの責務として考えられています。

さまざまな損害を補償する任意保険は、ドライバーにとっての安心にもつながるでしょう。しかし加入しているプランや特約によって、補償範囲は大きく異なり、一概に「保険に入っているから安心」と断言できるわけではありません。

今回はドライバーの方々に、「任意保険の落とし穴」についての体験談を聞きました。

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「他車運転特約」をつけていたのに…

「他車運転特約」をつけていたのに…

「保険に入っているから安心」とは言い切れない!?思わぬ自己負担金や追加支払いが生じることも…自動車任意保険の落とし穴
(画像=©SUPERMAO/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

自動車保険の特約にはさまざまなものがありますが、友人などと遠出する際に便利なのが「他車運転特約」です。これは保険加入者が契約車両以外の車を運転する際にも、契約車両と同様の補償内容を適用できる特約であり、契約に自動付帯する保険も多く見られます。

しかし、他車運転特約があるからといって、必ずしも「他人の車で事故を起こしても大丈夫」と安心できるわけではないようです。

「大学時代の友人2人と、泊まりでスキーに行ったときの話です。荷物がたくさん載る友人Aの車で行ったのですが、スキー場までは3時間ほどの距離だったので、交代で運転することになりました。全員車を持っていて、他車運転特約にも加入しているので、万が一のときも安心だと思っていたんです。

ですが帰り道、持ち主ではない友人Bが高速を運転している最中、渋滞に気づくのが遅れ、追突事故を起こしてしまいました。停止直前くらいの速度でぶつかったので、相手を含め乗員に怪我はなく、相手方の車の修理代も運転していたBの保険で賄われたんです。

でも、問題はAの車の修理代です。30万円ほどの見積もりだったのですが、Bは車両保険に入っていなかったんですよ。それで、BはAと私にもいくらか負担してほしいと申し出てきたんですね。

結局、Aが10万円、私は5万円を負担する形になりました。お金について話し合うなかで気まずくなり、それからは旅行に行くこともなくなってしまいましたね」(30代男性)

他車運転特約に加入していたとしても、上のように車両保険に加入していなければ、事故を起こした際に自車両の修理代をカバーできず、自分たちで負担することになります。

事故相手の過失が大きければ、こちらの車両に生じた損害の大部分を相手の保険で賄える可能性もありますが、過失割合や修理代の額によってはかなりの自己負担分が発生してしまうケースもあるでしょう。

他車運転特約に加入している場合にも、当人間で補償内容を事前に確認し、万が一の損害をどのように補償するのかについて合意しておくことが望ましいといえます。