車は高額な資産ですから、「個人間での貸し借り」には抵抗を覚える人が多いものと思われます。車を所有していない場合には、レンタカーやカーシェアといった有料サービスを利用することが一般的でしょう。

しかし状況によっては、家族間などで車を貸し借りするケースもあるかもしれません。今回はドライバーの方々に、「車の貸し借りで起きたトラブル」について話を聞きました。

目次
ルームシェアしている友人と車もシェアした結果…
後輩に貸した自慢の愛車、まさかの「又貸し」で…

ルームシェアしている友人と車もシェアした結果…

「ずっと憧れだった高級車を購入、調子に乗って後輩に貸したら…」友達・家族との車の貸し借りにまつわるトラブル
(画像=『MOBY』より 引用)

仲のいい友人同士などで、家賃を節約するためにルームシェアをするケースはそう珍しくないでしょう。しかし、友人間で車をシェアするという話はあまり耳にしないかもしれません。車のシェアも一見合理的に思えますが、どのような点に問題があるのでしょうか。

「以前ルームシェアしていた友人と、『車を1台買ってシェアして使おう』という話になり、お互いノリノリで30万円くらいの中古車を買いました。今思うとあまりに無計画でしたが、当時は2人とも車を維持したことがなかったので、維持費の折半がどれだけ面倒か考えられなかったんですよね。

ガソリン代や駐車場代はうまく折半できていたのですが、厄介だったのがメンテナンス費用でした。私はなるべくオイル交換やバッテリー交換など必要なものは定期的にやっておきたかったのですが、友人は『別に壊れないでしょ』と楽観的で。結局、そういう費用は私がすべて負担する形になっていたんですよ。

でも、あまり雪が降らない地方なので、スタッドレスタイヤは買っていなかったんです。それで珍しく雪が降った日に、友人がどうしても車で出かけたい用事があったようで、『なんで替えといてくれなかったんだよ!』と……。そういうイザコザもあって、結局車はお互いに持つようになりました。他人同士で共有すると、保険代も高かったですしね」(20代男性)

他人同士で車を共有する場合、まず考えなければならないのは任意保険についてでしょう。運転するのが本人や配偶者、同居親族に限られていれば、運転者限定特約により費用を抑えられますが、友人同士では範囲を限定できず、保険料が嵩んでしまう可能性があります。

また、固定費を折半できたとしても、ガソリン代を距離ごとに負担したり、洗車や消耗品費用についての考え方をすり合わせたりなど、金銭面で話し合っておくべきポイントは多いでしょう。

後輩に貸した自慢の愛車、まさかの「又貸し」で…

「ずっと憧れだった高級車を購入、調子に乗って後輩に貸したら…」友達・家族との車の貸し借りにまつわるトラブル
(画像=©methaphum/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

多くのオーナーにとって、大切な愛車は他人に貸したくないものでしょう。しかしその場の空気から、リスクを顧みずに貸してしまったと後悔する人も。

「20代前半の頃、ずっと憧れだったレクサスLSを買いました。中古で300万円くらいでしたが、やはり当時の自分には相当大きな買い物だったんです。

私の地元にはまだ『いい車に乗って一人前』みたいな風潮が根強いので、買ってからしばらくはいい気になって友達や後輩に見せて回っていました。とくに付き合いが長い後輩から、『いいなぁ、自分もこれ乗りたいんすよ』と言われ、ついつい調子に乗って『じゃあ乗ってみる?』と言ってしまったんですね。

ただ一応、後輩の保険については確認しましたし、そのときは何事もなく終わったんです。でもそれから、月イチくらいで車を貸してくれないかとお願いされるようになって……。

ある日戻ってきた車を見ると、リアバンパーが凹んでいることに気づいたんです。すぐに後輩に聞きますが、どうにも煮え切らない様子で、問い詰めると、別の後輩に又貸ししていたと。呆れると同時に、後輩からそんなにナメられていたのかと腹が立ちました。

修理代は30万円近くなりましたが、結局誰がぶつけたのかもわからず、後輩ともろくに連絡がつかなくなり、自腹で直すことに。調子に乗っていた罰が当たったんだと無理矢理納得しています」(30代男性)

他人に車を貸してはいけないと言われる理由の1つに、「事故の際の責任が取りにくい」という点が挙げられます。借りる側が他車運転特約やワンデー保険などに加入していれば、賠償に応じられる可能性もありますが、そうでなければ無保険状態で慣れない車を運転することになりかねません。

また上のケースは自損事故と思われ、損害は自身の車のみですが、相手のいる事故の場合には、一般に貸主と運転者がともに賠償責任を負うことになり、双方に大きな負担が生じるケースも想定されます。車を貸す際には絶対に、借りる側の保険内容を確認し、未加入の場合には貸し借りを控えるようにしましょう。