■「9.11は完全に正当化される」

 衝突後、2機のF-15戦闘機が現場近くにやって来たが、連邦航空局(FAA)がもう必要ないと伝えたため基地に戻った。飛行機の残骸は何時間もオフィス街の窓からぶら下がっていたが、翌日早朝に建物内に引き込まれて回収された。

 目撃者らは飛行機が建物への衝突を避けようとした様子はなかったと証言し、当局は最終的にこの事件は明らかに自殺だったと示唆した。さらに、残骸から見つかったメモには、ウサマ・ビンラディンへの支持表明が記されていたが、当局はあくまでも自発的な行動であり、テロの可能性を否定した。

「私はこれから犯そうとしている行為に関してこの声明を用意しました。まず第一に、9.11で起こしたテロ行為は完全に正当化されます。彼は強大な国家を屈服させました! 神のご加護がありますように…(中略)…これは私だけが行う作戦です。私には他の助けはありませんが、私は彼らに代わって行動しています」(遺書のメモより)

ビンラディンを愛する少年、飛行機を盗んで高層ビルに激突し自分だけ死亡
(画像=チャールズ・ビショップ 「Daily Star」の記事より,『TOCANA』より 引用)

 事件発生後、数多くの安全対策が講じられ、FAAは事件翌日の1月6日に安全に関する通知を発表した。 この通知には、航空機の安全と未成年の航空学生に関する規制が含まれていた。さらにEAAや他の小型航空機団体は、飛行学校や小型航空機の安全性を高めることを提案した。

 当局は墜落はセキュリティ違反ではなく「信頼の乱用」によるものだと述べたが、そのような行為の単純さからセキュリティ強化の必要性を主張する声もあがっている。

 航空科の生徒がこのような暴挙に出るとは現場では誰も考えていなかったであろうし、事実上、事件の発生を阻止することはできなかったであろう。負傷者がいなかったことは不幸中の幸いである。

 影響力の大きいテロにおいては指揮系統とは無関係の“自発的参加者”の存在が実に厄介なものであることをあらためて教えてくれるケースである。

参考:「Daily Star」ほか

文=仲田しんじ

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提供元・TOCANA

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