MTA ニューヨーク地下鉄

ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は28日、地下鉄の利用者の安全を確保するため、武器探知機の試験導入や、精神障害者に対するアウトリーチプログラムを拡大する計画を発表した

地下鉄では、悲惨な事件が相次いで報告されている。先月はラッシュアワーの走行中の車内で、乗客同士の口論が発砲に発展し、1人が重傷を負った。ハーレムの駅では25日、プラットホームにいた男性が、精神疾患を抱えた男性に突き飛ばされた後、電車にはねられ死亡する事件が起きた。

駅に銃が持ち込まれるケースも増加している。ニューヨーク市警察は3月24日の時点で450丁の銃器(うち違法銃は19丁)を地下鉄で押収した。前年同時期は261丁(違法銃は9丁)で大幅に増加している。

アダムス氏はロウアーマンハッタンのフルトン・トランジットセンターで開いた会見で、「ニューヨーカーの地下鉄における安全とシステムに対する信頼の維持は、ニューヨークが米国で最も安全な都市であり続けることの鍵になる」と説明。「交通機関から危険な武器を排除し、危機に陥っているニューヨーカーにより良いメンタルヘルスサービスを提供することは、現在の取り組みに対する次のステップとなる」と述べた。

駅に設置される探知機は、マサチューセッツ州のスタートアップ企業エヴォルブ(Evolv)社の製品で、銃器などは探知するが、携帯やその他の電子デバイスは探知されないようプログラムされている。メトロポリタン美術館や野球場のシティフィールドスタジアムなどでも導入されている。

デバイスは、監視テクノロジーの公的監視法(POST)で義務付けられている90日間の待機期間後に導入される。顔認証や生体認証には使用されないと説明している。