“ペイパルマフィア”のイスラエル版は“チェック・ポイントマフィア”
Torqは、Luminate Security社(2019年にSymantecへ売却)の設立チームが2020年に立ち上げたスタートアップだ。共同設立者はOfer Smadari氏、Leonid Belkind氏、Eldad Livni氏の3人。そのうち、CTOのBelkind氏およびCINOのBelkind氏はチェック・ポイント出身である。つまり、Torqはいわゆる“チェック・ポイントマフィア”の一員だ。
チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ(通称チェック・ポイント) は、ファイアウォールとVPN製品で知られるイスラエルのサイバーセキュリティベンダー。サイバーセキュリティ業界の動向分析に取り組むRoss Haleliuk氏によると、米国シリコンバレーの「ペイパルマフィア」同様、イスラエルには「チェック・ポイントマフィア」があるという。ペイパルマフィアとは、ペイパルを創業したイーロン・マスクやピーター・ティールを中心とした人的ネットワークのことだ。シリコンバレーのスタートアップを支えるエコシステムとして機能し、数多くのスタートアップを成功に導いてきた。
同様にチェック・ポイントマフィアは、イスラエルのテックスタートアップの成長を強力に支えてきたネットワークだ。チェック・ポイントは1996年6月にNASDAQで公開され、当時としては大型の6700万ドルを獲得した。それ以降、イスラエルのテックスタートアップのためのインキュベーターとしての役割も果たしてきたのだ。
Torqも、チェック・ポイントマフィアを含むイスラエルのエコシステムの支援を受けて成長してきた。しかしこれからグローバル市場、特に米国市場での勝者を目指して次のステージに向かうためには、イスラエルのエコシステムから自立して自ら超えなければならないハードルがある。キャズムを超えてグローバル市場の勝者を目指すTorq
Torqの先進的ソリューションを今まで積極的に受け入れてきた顧客は「イノベーター」と呼ばれる層だ。これからさらなる成長段階に入っていく際には、「アーリーアダプター」が顧客となる。
問題はイノベーターとアーリーアダプターの間に「キャズム」と呼ばれる「死の谷」があることだ。前者と後者のニーズは異なるため、新たに異なるニーズに適応できない企業は「死の谷」に転落することになる。
Torqがキャズムを超えるために必要なことは、ビジネスモデル、市場投入戦略、販売・マーケティングを革新する新しいスキルであり、米国市場で大型の資金調達をなしとげる規模拡大能力である。セキュリティ・ハイパーオートメーションのパイオニアとしての揺るがないポジションを中核に、新たなスキルを開拓しながら、Torqのグローバル市場への挑戦はこれからも続くに違いない。
引用元:Torq
(文・五条むい)