借金踏み倒しが日常のエクストリーム層
エクストリーム層とは、生活保護受給者に金融信用情報ブラック、刑務所帰り、DV逃避世帯といった、「家を借りたくても借りられない」人たちのことだ。そうした人たちに家を貸すことを生業のひとつとしている筆者は、いわば“エクストリーム大家”だ。最近では不動産業界でも、「エクストリームの人だけれども入居可か?」といった具合に用いられるようになってきた。
そんなエクストリーム層は、カネ、なかでも借金と親和性が高い。エクストリーム大家である筆者は、元入居者が退去後に郵便局へ転居届を出さなかったことから、その元入伽宛ての郵便物を整理することが多々あるが、そのなかには借金絡みのものも少なくない。
そうした案件の郵便物はすぐにわかる。「督促状」「催告状」「最終予告」といった大きな文字が踊っているからだ。そして封筒は、黄色、オレンジ、赤、黒などの目立つ色が多く、なかには黒と黄色というケバケバしい色もある。
これら封筒、もしくはハガキは、その中を見ずとも、そこに書かれている内容はおよそ察しがつく。
「いついつまでにいくら支払って下さい」「いついつまでに支払いがない場合、やむを得ず強制執行を行うほかありません」――。およそこういった督促だ。筆者は何度か、元の入居者や今居る入居者に、こういった郵便物の中を見せてっもらったことがある。
消費者金融やカード会社のなかには、封筒を開けると、公共料金の払い込み票のようなものが入っていて、そのまま支払いができるよう工夫されているところもある。こうした郵便物が届くと、一般的には気が滅入る人が多いだろう。ましてや、返すあてがなければ、なおさらである。
しかし、エクストリーム層は、こうした郵便物が届いても、なんら意に介す様子がない。
「大家さん、それ、悪いけど捨てといて――」
大抵は、この一言で終わる。膨れ上がった債務を整理しよう、頑張って働いて返そう、という思考は皆無だ。