■意識や感情の解明も
今回、科学者らが計画している実験は3つ。1つは、量子ビットが原子核を回る電子ではなく、核スピン(原子核の自動運動)上に貯蔵されているか確かめるもの。具体的には、人体に大量に存在するリン原子が生化学的な量子ビットとして機能しているかを見るそうだ。
次に、量子ビット同士の繋がりと依存性(量子もつれ)が破れる量子デコヒーレンス(量子系の干渉が環境との相互作用によって失われる現象)の可能性を調べるという。我々の脳が量子コンピュータだとしたら、デコヒーレンスを引き起こさないための生体的な仕掛けがあるはずだからだ。
3つ目に、ミトコンドリアを調査するという。ミトコンドリアは生体のメタボリズムに寄与し、体中に信号を送っている。そのため、脳の量子ビットにおいても重要な役割を担っている可能性が高い。神経伝達物質とシナプスの発火が脳内の量子もつれを引き起こしている可能性があると研究チームは考えているそうだ。
脳が量子コンピュータだと判明すれば、長期記憶、意識、感情、気付きなど、脳の最もミステリアスな機能を解明する糸口を掴むことになるという。もし意識が量子コンピュータの産物だとすれば、これまでの人間観が180度転回するような大発見だ。物理的なプロセスで意識が発生するならば、理論的には人口知能に意識を持たせることも可能になるだろう。いずれにしろ、全ては実験の結果が出てからだ。フィッシャー教授らの今後の研究に一層期待したい。
参考:「Science Alert」、「New Scientist」、ほか
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提供元・TOCANA
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