2013年のデータを見返すと、ルーティンタスクに費やしていた時間は1日あたり平均179分。さらに割りこみタスクに費やしていた時間は133分だった。なんと合計で312分、1日に5・2時間費やしていた!

9時から18時まで9時間業務の中で、自由に使える時間は3.8時間しかない計算になる。3.8時間しかないのに9時間分の仕事の計画を立てればどうなるか。当然5.2時間が溢れてしまう。

このことに気がついた私はタスクリストを作る際、ルーティンタスクにかかる時間を最初に「天引き」してからタスクリストを作るようにしていた。

私の場合、1日に5.2時間ルーティンタスクに費やすことは事前にわかっているのだ。ならばタスクリストを作りはじめる前に事前にこの情報をタスクリストに盛り込んでおけばいい。

たとえば当時の私は毎朝出勤して朝一番にタスクリストを10分程時間をかけて作っていた。この場合「タスクリストを作る」というタスクを見積時間10分で事前に作っておく。それと「昼休み」。昼食の時間もあらかじめ組みこんでおく。

割りこみタスクに関しても同様だ。過去のデータから1日に133分程度費やすことはわかっている。なので、事前に133分をタスクリストに組み込んで予定しておく。

こうしてルーティンタスクと割りこみタスクに費やす時間を事前に「天引き」しておく。そうして残された時間に、今日実行するタスクを割り当てていく。これこそが現実的な、実行可能なタスクリストを作るために最も大切なことになる。

先程私の労働時間の例でも書いたが、実際に自由に使える時間(私はこれを「本当の持ち時間」と呼んでいる)が3.8時間しかないのに9時間分のタスクをリストに割り当てれば、予定通り終わらないのは当然だ。この5.2時間が残業という形でしわ寄せとなる。

タスク管理をはじめる前の私もそうだったが、世の中の大半の人が「今日も全然仕事が終わらなかった……」と挫折感を感じる原因がこれなのだ!

タスク管理をしていない人はルーティンタスク、特に割りこみタスクに費やす時間が本当の持ち時間を圧迫していることを正しく認識していない。1日の業務時間を、頭の中で大雑把に見積り立ててしまっているのだ。

しかし「本当の持ち時間」は通常、認識しているよりもはるかに少ない。はるかにだ。予定通り仕事を終えたいなら言うまでもなく、その予定が現実的である必要がある。

「現実的である」ということは、予定が本当の持ち時間に基づいているということなのだ。

滝川 徹(タスク管理の専門家) 1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2018年に順天堂大学で講演を行うなど、現在は講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。

■仕事の先延ばしグセは時間帯を見直すことで回避できる(滝川徹 時短コンサルタント) ■リマインダーの効果をあなどるなかれ。集中力爆上がりの活用法とは(滝川徹  時短コンサルタント) ■AIに仕事を奪われる時代でも人間に残る、ある貴重なスキルとは滝川徹  時短コンサルタント) ■先延ばしグセを辞めたいなら、村上春樹のように仕事に取り組め(滝川徹  時短コンサルタント) ■1つの仕事に30分以上かけてはいけない理由(滝川徹  時短コンサルタント)

編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年4月18日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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