オウムはタブレットのスクリーンを上手にタップし、ゲームを楽しめる

実験には、ペットとして飼育されている20羽のオウムが選ばれました。

これらのオウムの種類は様々であり、ホオミドリアカオウロコインコ(学名:Pyrrhura molinae)と呼ばれる比較的小柄なものから、世界最大のスミレコンゴウインコ(学名:Anodorhynchus hyacinthinus)まで参加しました。

すべてのオウムたちは、過去にタッチスクリーンの使用経験があり、飼い主たちのサポートを受けながら今回の実験に参加しています。

研究チームから提供されたのは、「画面上の様々な色のターゲットをタップする」というシンプルなゲームであり、オウムたちはクチバシと舌を使ってプレイしました。

タブレット機器でゲームをプレイするオウム
タブレット機器でゲームをプレイするオウム / Credit:Kleinberger, Rébecca(Northeastern University)_Parrots love playing tablet games. That’s helping researchers understand them.(2024)

オウムたちは、毎日30分以内の短いセッションを、3カ月にわたって続けました。

17羽が実験を完遂しましたが、残りの3羽は、攻撃的な兆候や興味の欠如を示したため脱落しています。

ゲームプレイ中、正確さ、タップの位置や頻度、圧力などの情報が集められました。

そして実験の結果、オウムのタブレット操作に関する理解が深まりました。

例えば、オウムはタブレットを操作するために舌を使うため、人間と比べて、目が画面と近くなります。

それゆえ、彼らのタップには正確さが欠けており、より大きなターゲットの方が上手くタップできるようです。

もし、オウム用のタブレットゲーム(またはアプリ)を開発する場合は、タップアイコンは大きめにすべきだと分かりますね。

小さなターゲットのタップは苦手
小さなターゲットのタップは苦手 / Credit:Kleinberger, Rébecca(Northeastern University)_Parrots love playing tablet games. That’s helping researchers understand them.(2024)

また鳥のサイズによってパフォーマンスに大きなばらつきがあり、小さな鳥の方が苦労する傾向にありました。

さらに、一部のオウムは舌の素早い制御が得意だということも分かりました。

クラインバーガー氏によると、「オウムの中には、タブレットのスクリーンを、41回連続で素早くタップする猛者もいた」ようです。

人間が楽しむゲームでは、時に連打(連続タップ)が求められますが、一部のオウムはその連打すら行えるのです。

加えて実験に参加したオウムの飼い主たちは、「オウムのタップによって画面が傷つく恐れがある」ことも指摘しており、オウム用のタブレット機器を開発するためには、これらの課題にも取り組む必要があることも分かりました。

ちなみに、興味深い点として、この実験では、オウムと人間に共通するタブレットゲームの欠点も判明しました。

オウムにタブレット機器を与えると、人間みたいに「使いすぎる」かも!?
オウムにタブレット機器を与えると、人間みたいに「使いすぎる」かも!? / Credit:Kleinberger, Rébecca(Northeastern University)_Parrots love playing tablet games. That’s helping researchers understand them.(2024)

飼い主たちはしばしば、潜在的なリスクとして、「夢中になったオウムたちがタブレット機器を過度に使用してしまう」という点を挙げたのです。

そして、人間の子供のスクリーンタイム(デバイスの使用時間)を制限すべきであるように、オウムに対してもその必要があるかもしれないと考えました。

子供にスマホやタブレット機器を与えると、「いつまでもゲームをしてしまう」なんて問題がよく話題になりますが、このことは、オウムにタブレット機器を与えた時にも生じるかもしれないのですね。

今回の研究は、オウム用のタブレット機器やアプリを開発する際に、きっと役立つことでしょう。

また研究チームは、オウムだけでなく、他の動物への応用に繋がることを期待しています。

もしかしたら将来、賢い動物たちがタッチスクリーンを使いこなし、遠くの仲間とコミュニケーションを取ったり、飼い主が留守の間にゲームで暇つぶししたりすることもあるのかもしれませんね。

参考文献

Parrots love playing tablet games. That’s helping researchers understand them.

元論文

No More Angry Birds: Investigating Touchscreen Ergonomics to Improve Tablet-Based Enrichment for Parrots

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。