社会変革の速度が非常に速いから、真に創造的事業といえども、短期間のうちに古いものに転じる。古い事業は即座に売却され、事業を売却した起業家は、売却資金を新たな創造のために再投資する。資金循環こそ、連続的創造を可能にするものである。

事業売却資金を手にした起業家は、自分で改めて全く別の事業を創造することも理屈上は可能だが、その成功は、人間の能力の限界として、極めて非現実的であって、実際には、投資家としての立場に身を変えて、創造に挑戦する別の起業家に資金を供給することになる。

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しかし、こうした起業家の行動様式は、普通の企業の経営にも適用できる。企業にして、自分が現に営んでいる事業分野において、真に創造的な革新を起こそうとすれば、自己を否定するほかない。つまり、現存事業を売却して退路を断ち、その売却代金を新規事業に投資するほかないのである。