■頭を切り裂かれながら8時間もの拷問
カシアンさんの遺体を検分した検視官のジム・リーベ氏によれば、死因は失血によるものであったという。もちろん失血死は珍しいものではないが、彼女の場合は極端であった。普通の人間にはおよそ5リットルの血液が流れているが、発見されたときの彼女の遺体にはスプーンひとさじ分以下の血液しかなかったのだ。
「このような遺体をこれまで見たことはありません。国内や海外の法医学病理学者もまた戦争以外でこのような遺体を見たことはないと思います」とリーベ氏は証言している。彼女の頭部の皮膚は剥ぎ取られていたのである。
被害者の頭皮を剥ぎ取るという凶行は2000年にもシンシナティで起こっており、男が妻の愛人をショットガンで殺害した後に、妻に見せるために頭皮を剥ぎ取っている。
しかしカシアンさんの頭皮は明らかに死後に剥ぎ取られたものではなかった。リーベ氏によれば、頭皮と髪は完全に取り除かれ、頭蓋骨が見える状態であったという。そして顔の一部と左の耳も切り取られていたのだ。リーベ氏はこのような頭の状態は犬に噛み殺されて死んだ2名の遺体以外では見たことはないという。
「きわめて珍しい100万分の1のケースに思えます。とても恐ろしいことです」(ジム・リーベ氏)
そして遺体にはほとんど血液が残っていなかったことから、カシアンさんは生きたまま頭皮を剥ぎ取られ、ゆっくりと失血して亡くなったことが分かるという。頭皮を切り裂かれる虐待を受け続け、最長で8時間は生きていた可能性もあるということだ。カシアンさんはきわめて残忍な、狂気の犯行によって何時間ももがき苦しみながら息絶えたのである。