■「着払い」にはバブルが関係?

まずは基本中の基本、着払いと代引きの「支払い内容」について確認してみる。

こちらの質問に対し、ヤマト運輸からは「着払いとは、運賃(送料)をお荷物の受け取り時に受取人さまが支払う方法です」「代金引換は、お荷物の商品代金+運賃(送料)+代引き手数料を、お荷物の受け取り時に受取人さまが支払う方法です」との回答が得られたのだ。

今回のアンケートではあくまで「同じものか」を質問しただけなので、「受取人が商品代金+運賃(送料)+代引き手数料を支払う方法は『着払い』だと思う?」という質問を設けた場合、より多くの人が誤答していたような気もする…。

日本人の2割、着払い・代引きを「同じ」と誤解していた 40年前のエピソードに思わず納得
(画像=『Sirabee』より引用)

似ているようで全く異なる2つの支払い方法、ヤマト運輸はどのような背景から導入したのだろうか。

こちらの疑問について、ヤマト運輸担当者からは「もともと『宅急便』のお支払いは発払いを原則としてきましたが、スキー場やゴルフ場から自宅に用具を送り返す際に『着払いにしたい』という要望が数多く寄せられたため、1985年(昭和60年)1月から『スキー宅急便』と『ゴルフ宅急便』に限定して着払いを開始しました」との回答が。

スキーもゴルフもバブル期に大きな人気を博したスポーツであり、時期も80年代真っ只中という点から「バブルが着払いを後押しした」という見方もできないだろうか。

ヤマト運輸担当者は「こちらが好評だったため、同年10月から全ての『宅急便』で利用できるようにしました。その後、着払いの利用は旅行手荷物のお届けなど個人のお客さまのニーズだけではなく、不用品の交換・商品の返品など法人のお客さまにも拡大していきました」とも補足している。

■着払い導入の1年後には…

続いては「代引き」導入の経緯について尋ねてみる。

ヤマト運輸担当者は「当社では『宅急便』発売前から都内の百貨店の商品配達時に代金引換を行なっており、当時は回収した代金をそのまま封筒に入れて保管し、百貨店に入金していました」「こうしたノウハウを持っていたので代金回収業務に進出することを決め、『宅急便』発売後の1986年(昭和61年)7月に『ヤマトコレクトサービス株式会社』を設立し、同年11月から『宅急便』のお支払い方法として『コレクトサービス』(代金引換サービス)の提供を開始しました」と説明しており、着払いの方が「1年先輩」であると判明したのだ。

その後、2000年代のインターネット普及に伴い、カード払いなど決済サービスが多様化したことから、05年にはサービス名称を「コレクトサービス」から「宅急便コレクト」に変更することに。

日本人の2割、着払い・代引きを「同じ」と誤解していた 40年前のエピソードに思わず納得
(画像=『Sirabee』より引用)

同サービスの歩みについて、担当者は「こうした決済サービスはお客さまにとって非常に利便性が高く、特にECの展開と共に普及していきました」と振り返っている。

なお、一定数のユーザーが着払いと代引きを混同している件に関しては、「お支払い方法の違いについて認知されていない部分については、引き続きホームページなどで分かりやすいご案内を心掛けてまいります」とのコメントが得られた。あやふやに記憶している人は、これを機に違いをしっかり覚えておこう。