対中債務を抱える国が、デフォルトを含む国内経済の破綻状況に陥っており、それは深刻な問題となっているのは周知の通りだが、これに対して、中国は明確な指針を示しているのだろうか?
元々、「一帯一路」の甘言に乗せられ、国内経済が逼迫している国は、その甘い言葉に乗ってしまった。つまり、中国が自国経済をなんとかしてくれると頼ったのだ。
その足元を見た中国共産党は、港湾使用権を担保に、高い金利と短い返済期間を設けて、多額のお金を貸し付けてきた。
中国への債務が莫大な上位5カ国
ロシアがウクライナに攻め込んできたり、中東問題が深刻化したことも、エネルギー供給に暗い影を落としたのは事実だが、それ以上に各国の経済に影響を与えたのは、中国を発祥とする新型コロナ感染症の蔓延だ。
中国国内はゼロコロナ政策という史上稀に見る愚策によって、経済が疲弊し、現在は、株価の低迷、外資の中国回避など、出口の見えない状況に陥っている。そして、中国の財政を逼迫させているのが、「一帯一路」やアジアインフラ投資銀行(AIIB)の大失敗だ。
またこれら対中債務を抱える国にとって、債務返済が不可能となった場合に、中国に献上するのは、国内のインフラしかない。それは中国共産党の狙いでもある。
Forbes誌は、対中債務の代償として、スリランカの港湾使用権を例に挙げていて、スリランカの例は象徴的な存在、つまり中国の債務を抱えたままにして返済出来ないとこうなりますよと指摘するにとどまっている。
ただ、一説によると中国が途上国に貸し付けている総額は、中国政府と中国企業の総額が40兆円以上に上るとの推計もある。実は、この貸付金額の肥大化が、中国自体に悪影響を与えてもいる。
だから、これまで先進国が途上国に貸してきたお金の大半は支払いを免除されてきて、今後、中国がどのように対応するかが注目されてきたが、貸付金額が巨額に上るため、仮に債務国のインフラの権利を取得したとしても、以後の維持管理費等、担保で取得したものが、更に中国に負担を強いるというおかしな状況が起きるだろうと言われている。
加えて、中国に対する最大の懸念材料は、中国が一党独裁であることだ。鄧小平が改革開放路線に向かった背景には、中国で大量に産出されるレアアースを、対外戦略の柱に据えたと言われているが、むしろ共産党保守派が強硬に進めたのは、「時間をかける」という戦略ではないだろうか?
元々、チベットにしてもウイグルにしても、漢民族への同化政策が主になっており、その背景は、チベットとウイグルにある大量の地下資源を中国のものにすることを狙ってのもの。更に中国は日本に対しても「第一列島線」をでっち上げて中国の悲願である「海」への進出を進めてきた。日本のEEZ(排他的経済水域)周辺での海底資源調査や共産党から支持を受けた自称漁師が、魚や珊瑚と言った海産物を採り続けることで、既成事実化を狙っている。