丸投げの新興メーカーには特に要注意

アイリスオーヤマに限らず、安価家電メーカーといえど、価格のみを参考にして製品を「安かろう悪かろう」とは断言できない。だが、注意すべき点はあるという。

「安価家電メーカーは、家電業界に参入して日が浅い新興メーカーが多いです。そのため歴史のある大手メーカーに比べて、部品の納入元の確保や工場での品質管理のノウハウが十分なものではないことが大半だと考えられます。

長年、製造している大手メーカーだと、信頼できる取引先があって部品の納入もスムーズにいくでしょう。けれど新興メーカーだとどうしても見劣りしてしまう場合が多く、悪質な取引先から不良部品を仕入れてしまうこともあり得ます。

また当然ですが、設計、製造した製品が本来の意図通りにつくられるとは限らないので、メーカーは生産ラインの品質管理を行うことが必須になります。そこで大手では現地工場で視察、検品するなどして品質管理に努め、内部に生産、品質管理のノウハウが蓄積されやすいのですが、新興メーカーとなるとそれが難しい。そもそも自社工場ではなく、海外にある工場に製造を委託しているところが少なくなく、かつ現地に社員を駐在させて監督させるほどの余裕もないことから、大手ほどの品質管理ができるかどうかについては微妙なんです。そして、従来のメーカーとは異なる製造体制であることが珍しくありません。

製品の設計から製造まで、すべて外部の取引先に委託している新興メーカーもあります。丸投げしているわけですから、その中身はもはやメーカーではなく、実質的には出来上がった製品を輸入するだけの商社のような存在です。ですから生産管理、品質管理は統制をとりづらくなるでしょうし、製品自体のクオリティを担保することは難しくなるでしょう。

そういった意味では、品質管理のノウハウがある大手や長年活動しているメーカーは、自社、関係企業で設計、製造している場合が多いので製品に対する信頼度は高いです。その点、アイリスオーヤマも国内に自社工場を構えているので、品質管理には一定以上の信頼性はあると言えるでしょう。ただそのほかの安価メーカーにおいて自社管轄下で製造をしきれていない企業は怪しいですね」(同)

自社工場を持っているとはいえ、アイリスオーヤマは家電業界ではまだまだ新興メーカーといえる企業だ。安価メーカーのなかでは信用できる企業だとしてもパナソニック、ソニーといった歴史の長い大手と比較してみると、発展途上というイメージを持つ方も多いだろう。

では最後に、もし使用しているライトに火災の恐れがあることを発見した場合、どのように対処すべきなのか。

「メーカーに連絡する前に消防署や消費生活センターに連絡して、対応を急いだほうがいいでしょう。どうしても製品は動作不良を起こすなどして経年劣化するものなので、メーカーではなく第三者機関に問い合わせて事故発生の原因を突き止めるべきです。こうした事故を防ぐためにも、日々自分の手で掃除するなど、メンテナンスを施してみてもいいかもしれませんね」(同)

火災の恐れがある製品を個別に見極めることは難しいが、メーカーの内情をある程度把握しておけば購入時の判断材料にはなるはずだ。製品の設計や回路図がわからずとも、メーカーの歴史や取引先との関係を知れば、視点を変えた有意義な家電選びができるのではないだろうか。

(取材・文=文月/A4studio)

提供元・Business Journal

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