AIによるライティング支援ツールの世界市場は2024年に3億ドルを、2030年には5億ドルを超えると予測されており、今後も急拡大が見込まれている。

背景には、デジタルコンテンツに対する需要の高まりがある。質のいいコンテンツを、スピーディーかつ安く量産する重要性が増しているのだ。

この分野ではGrammarly(2009年創業)やProWritingAid(2012年創業)などが先行してきたが、新たに市場に参入したのがアメリカのスタートアップであるLinguixだ。

CEOの体験から生まれたLinguix

Image Credit: Linguix

Linguixは2018年にAlex Lashkov氏、Vitaly Kukharenko氏、Eugene Godov氏によって共同設立された。創業のきっかけになったのは、創業者兼プロダクトマーケティングマネージャーを務めるAlex氏の経験だ。

同氏は英語のネイティブスピーカーではない。アメリカでコンテンツマーケティングに携わっていたものの、ライティングスキルが障壁になり、契約やチャンスを失っていると感じていたという。

そこでAlex氏はGrammarlyを使い始めたが、自身には合わないと悟ることになる。Grammarlyは文章のミスをなくすのには役立つ一方、間違いがあってもなくても無数の警告を出してくる。同氏が求めていたのは、実際の課題を解決するためのツールだった。

そして、ライティングを通じて課題解決に役立つツールを開発し始めた。まずはノンネイティブ向けの文法チェッカーを考案。文法が明らかに間違っている場合を除いて警告を出さないのが特徴だ。

メール開封率25%向上など結果の出る機能が満載

Linguixの機能は、最低限の文法チェックだけではない。文をわかりやすく、自然で説得力あるものにするための提案をしてくれるほか、よく間違える文法を自動で検知して解説までしてくれるという。

メール全体を書き直す機能もある。Linguixで書き直したメールは、開封率が25%向上するとのことだ。

Image Credit: Linguix

文章作りそのものを任せることも可能だ。たとえば段落を1つ書き終えたら、ボタンを押すだけで続きを書いてくれる。ボタンも「謝罪のメール」「プレスリリース」「ブログの記事」など、実用的なものが揃っている。

Image Credit: Linguix

さらに、「スタイルガイド」という機能は、誰が書いても統一感を出せるよう支援してくれる。たとえば、「consumers」ではなく「customers」を、「manhours」ではなく「person hours」を使うといったルールを設定できるのだ。

この機能により、組織全体でマナーに則った書き方や、インクルーシブな表現を使うことができ、大きな損失につながりうるミスを防げる。

メールが読まれる可能性を高め、文章づくりの時間を短縮し、無用なトラブルを避ける……Linguixはこのような結果を生む機能が満載なのだ。