田に直接種を蒔く「直播」も実施
もうひとつ、Rizeが取り組んでいる農法がある。英語では「Direct Seeded Rice」と呼ばれるもので、日本語では「直播(ちょくは・ちょくはん)米」となる。
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Image Credits:Rize
中干しと直播には、「できるだけ水を使わない」という共通点がある。要するに、アジアの一部地域で伝統的に行われている農法をアジア全体に普及させようというのがRizeのミッションなのだ。
降水量の少ない地域の希望になるか
Rizeの主張によると、中干しを実施するだけでも農業用水の使用を3割削減でき、さらにワンシーズンごとに1ヘクタールあたり1.4トンのメタンの排出を削減するという。同社はすでに、ベトナムやインドネシアでメタン削減農法普及に取り組んでいる。
農業用水を削減できる点にも注目が必要だ。ひとくちに東南アジア諸国と言っても、地域によって降水量が大きく異なる。たとえば、インドネシアのジャワ島西部はケッペン気候区分の熱帯雨林気候だが、東部は熱帯サバナ気候。バリ島、ロンボク島…と東へ行くほど降水量が少なくなる。ダム建設も行われない地域では、農業用水の確保も容易ではない。
中干しと直播を用いた農法は、そうした地域に光を与えるかもしれない。
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Image Credits:Rize
温室効果ガスの削減、食料増産、小規模農家支援を同時に実現しようという同社の取り組みは、アジアの稲作の在り方に一石を投じるものでもある。
(文・澤田 真一)