良いコンサルは相手の話の途中で口を挟まない
―――他に、若手コンサルタントが陥りがちな状況について教えてください。
相手の話の途中で自分が口を挟んでしまうことです。これはメモを取っていないからです。
先ほどの例だと、「社員が元気がない」という話を受けた時、「その元気とはどういうことですか?」と途中で聞きたくなってしまうのは、メモを取っていないと質問したいことを忘れてしまうからです。
良いコンサルタントは相手の話の途中で口を挟みません。社長がせっかく話しているのに、途中で質問してしまうと、相手の話がさえぎられてしまい、話が別の方向にいってしまうことが多いんです。せっかく本音を話してくれそうだったのに、ほかの話題になってしまったりするので、できるだけ相手のリズムをさえぎらないことが重要です。
そのためにはメモを取ることです。聞いているうちに相手の話が途中でわからなくなったら、後で聞きましょう。メモを見返して、相手の話が終わった後で聞きたいことを質問すれば良いんです。
―――そのほか、若手コンサルタントがしがちなミスや注意すべき点はありますか?
自分の知識を披露しがちなことです。どうしても聞きかじったことを人に話したくなってしまうので、自分が聞く側なのに、知識を披露することがあります。
相手が話したいことだけを話させて、相手が聞きたいことだけを喋ることができるのが、良いコンサルタントです。
私の上司は「59分聞いて1分だけ話せ」とよく言っていました。極端だと思われるかもしれませんが、実際に上司はそれに近いことをしていたので決してオーバーな表現ではありません。
普段はおしゃべりな人だったのですが、仕事の時には相手の話をずっと聞いていました。そして、最後にぽろっと相手が「まさにそれを聞きたかったんだよ」と言うような話をする。あれはもう芸術でしたね。
優秀なコンサルタントは相手の話をずっと聞いていて、最後に相手の心に刺さることを言うことができます。すると相手に信用してもらえるんです。
コンサルタントの仕事は提案することだと言う人も多いのですが、上司からは、提案はするな、相手がやりたいことを後押しするだけなんだ、と言われてきました。
コンサルに向いている人が面接時にすること
―――最後に、コンサルタントの採用時にはどんな人を採りたいと思いますか?
言葉への感度が高い人です。言語能力が高い人は聞くことができるし、正確にアウトプットができます。
採用時には、「こういうシチュエーションでお客様からこう言われました、あなたならどうしますか」といったケーススタディのお題を与えて5分くらいで紙に書いて発表してもらうのですが、そこで自分がどうするかを書いたり話せたりする人は優秀な人が多いです。
なので、語彙が多い方が良いですし、本を読んでいる人や、普段から聞く・話すことを意識している人が有利ですね。
あと、面接時に「これは、〜ということでしょうか」など、相手に質問ができる人です。
質問をしたら失礼じゃないかと思っている人が多いですが、実際には失礼ではありません。
(前編で、)若手にとって重要なことの1つに、相手に反応する前に、ワンクッション置いて一度考えることと話しました。
質問するのは、「質問の意図を自分は理解できているだろうか」と一度自問自答し、ワンクッション置く癖がついている証拠なので、それが自然にできている人は優秀だとみなされる可能性が高いです。
相手の話を聞いて、自分が理解したこと・していないことを取捨選択して、理解できなかった部分について問い合わせをするという当たり前のことなのですが、一連の動作としてできるようになるためには訓練が必要になってきます。
そのためには(前編で)ご紹介した7つの黄金法則を意識することが大事です。
面接の時にすでに質問ができる人は覚えも良いし、早いです。実際にコンサルタントとして働き出すとお客様からの評価も高いですし、次の仕事もちゃんともらえたりします。
失礼ではない雰囲気を出しながら、うまく相手に質問できる人が良いコンサルタントになれますよ。
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