この原稿が公開される頃にはもう選挙の結果は出ているだろう。この文章を書いている時点では私は結果を知らないが、たぶん、有力お三方のうちのどなたかなのだろう。
自分が有権者として投票行為をした選挙で、正直言って今回の選挙ほど残念な選挙はあまり記憶にない。
川勝前知事がやめた経緯からすると今回の静岡県知事選挙の争点はリニアの進め方・・・であったはずである。なぜなら、前知事の職業差別発言についてはご本人の説明を拝聴する限りは、実は本人は何も悪いと思っていないように見えるので、これは辞職の原因ではなく単なるきっかけであり、「リニアの早期開業をJRに明確に断念させて一区切りつけた」ことが辞職の理由とみるべきであり、しかもこれだけ全国区の問題になっているからである。
・・・つまり、今回の選挙の争点は、前知事があれだけ反対したリニアに対する考え方を県民に問う選挙となるはずである。もちろんリニア以外の課題も山積みであろうが、少なくとも今回の選挙においてはリニアをどうするかを県民に問うてくれるものと期待していた。
ところが、である。どうもそうではなかったようである。リニアは、今回の静岡知事選の争点になっていなかったのである。
リニアに反対の候補者についてはこれは明確である。しかし、今回の選挙において、明確にリニアを進めたがっている候補者は、個人の尊厳党の横山正文氏1名しかおらず(※)、有力な2候補は、リニア開業に消極的であった。
ちょっと待てよ、自民・立民推薦の候補者はふたりとも「リニア推進派」と言っていたではないか?という方もおられようが、そうだろうか。