クレジットカードを初めて作る人や久しぶりに作る人が事前に確認しておきたいのが、選び方や作り方。もちろんカードごとに相違点があるのは当然だが、共通しているところも多い。ここでは必要書類やフロー、選択の際の注目ポイントを見ていこう。

目次
1,クレジットカードを作るのに必要な3つの書類・確認事項
2,クレジットカードの3つの申し込み方法
3,クレジットカードの作り方3ステップ
4,クレジットカードを選ぶポイント
5,未成年者や学生、主婦、無職の人がクレジットカードを作るときの注意点は?
6,自身のニーズや支払い能力に見合ったカードを作ろう

1,クレジットカードを作るのに必要な3つの書類――本人確認書類・金融機関口座・住所

クレジットカードを作る(入会する)際には3つの書類(個人情報)を揃えておく必要がある。まずはそれを説明しよう。

1,本人確認書類

クレジットカードの不正な利用を防ぐため、確かに本人からの申し込みであることを証明する必要があり、それには本人確認書類のコピーや画像データ等を提出しなければならない。

本人確認書類として使えるのは一般的に、

  • 運転免許証(または運転経歴証明書)のコピー
  • パスポートのコピー
  • 健康保険証のコピー
  • 住民票の写し
  • マイナンバーカード

など。カード会社によって使えるものや確認方法は異なり、たとえばJCBではマイナンバーカードを受け付けていない代わりに、カード受け取り時に運転免許証を見せれば、申し込み時の本人確認書類の提出は不要となる。

また、提出する必要のある箇所とそうでない箇所があり、たとえばパスポートでは写真のある面と最終ページの住所記載欄の画像が必要となる(住所欄は記載済であること)。その一方でマイナンバーカードでは個人番号が記載された裏面は提出してはならない。

複数の本人確認書類を提出するケースでは、1点しか用意できない場合、公共料金や社会保険料の領収書の提出も併せて求められることがある。そのようにさまざまなパターンがあるので、どんな書類が使えるかということも含め作りたいカードごとに確認する必要がある。

金融機関口座の確認書類

クレジットカードの利用代金は月に1度、銀行など金融機関口座から自動引き落としされる。この名義は会員本人のものでなければならず、当然だが、「申し込み者」「本人確認書類の記載名」「金融機関口座名義」「カード名義」はすべて同一となる。

公式サイトからカードを申し込む場合、引落口座の設定も同時に行うことになるので、キャッシュカードや預金通帳、インターネットバンキング利用者カード等を手元に用意しておいたほうがいいだろう。なお、金融機関によってはネットを介した手続きができず、別途書面で金融機関口座の手続きを行う必要がある。

そうした制約などもあるため、クレジットカードを作るのをきっかけに新たに金融機関口座を開設してもいいだろう。銀行系カードや、グループ企業に銀行を持つカード会社であれば、カード利用代金の引落口座にそうした系列銀行を選ぶと何らかの特典を受けられることがある。

たとえば「楽天カード」では楽天銀行口座の登録により、楽天市場におけるカード利用分がポイントアップされる。

住所

ほとんどのクレジットカードは郵送での受け取りとなり、基本的には本人確認書類の住所に送られてくる。

ただし、何らかの理由で、本人確認書類とは違う住所で受け取りたいケースもあるだろう。その場合、不正なカード取得などを防止する観点から、申し込み者本人がその住所に住んでいる証明として、受け取り住所と氏名が記載されている公的な領収書(公共料金や社会保険料、税金など)の提出が求められる。これらは発行から6ヵ月以内でなければならない。

こうした書類を用意するのを面倒に感じるかもしれないが、いずれも第三者による不正なカード発行を防止するためであり、安心してクレジットカードを使うためのことだと考えてほしい。

2,クレジットカードの3つの申し込み方法――公式サイト・申込書郵送・店頭カードカウンター

クレジットカードの申し込み経路には主に次の3つがある。それぞれのメリット・デメリット、発行までの期間について違いを紹介しよう。

申し込み方法1,公式サイトから申し込む

カード会社の公式サイトの申し込みフォームから必要事項を記入して申し込む方法。引落口座の登録ステップでは認証のため、その銀行等のサイトへ移動してネットバンキングにログインする。

この方法では申込書等の郵送の手間がないため、郵送やカード会社での情報登録にかかる時間を節約でき、その分だけカード発行までの日数は短くなる。これは最大のメリットといっていいだろう。

また、カード会社のほうも情報を入力する者が不要でコスト減となるため、公式サイトからの申し込みを選択すると初年度年会費が無料になったり、ボーナスポイント付与などの特典が付いたりすることも多い。

際立ったデメリットはないが、パソコンやスマホの扱いに慣れていない人にとってはかえって面倒に感じられるかもしれない。

申し込み方法2,申込書を郵送して申し込む

必要事項を記入した申込書とそのほかの必要書類を郵送して申し込む方法。郵送やカード会社での情報登録に時間がかかる分、公式サイトから申し込む場合と比べて発行が少し遅くなることが多い。また、手元に申込書がない場合は、最初にカード会社からそれを送付してもらう必要もある。これらはデメリットといっていいだろう。

パソコンやスマホの扱いに慣れていない人や、ネットでの個人情報のやり取りが不安な人には向いているだろう。

申し込み方法3,店頭のカードカウンターで申し込む

そう多くはないが、デパートの系列カード会社が発行するクレジットカードや、消費者金融が発行するカードでは店頭のカードカウンターなどで申し込みから発行まで済ませられることがある。

この申し込み方法のメリットは何といっても発行の早さにある。通常、30分ほどの審査を経て発行されるので買い物に来たついでに作ることもできる。

一方、店頭での発行は利用金額や利用可能店舗などに制限のある「仮カード」が発行され、正式なカードは後日郵送されるという形態も多いので注意が必要だ。また、店頭で発行できるクレジットカードは少ないということもデメリットだ。

このタイプのクレジットカードには、「セゾンカードインターナショナル」「エポスカード」「MICARD+(エムアイカード プラス)」などがある。

3,クレジットカードの作り方3ステップ――公式サイトからの申し込みの場合

それでは、クレジットカードの作り方をステップごとに紹介しよう。なお、ここでは現在最も一般的な、公式サイトから申し込む方法を想定する。

ステップ1,カードを選んで申し込む

カード会社の公式サイトなどでスペックを確認してカードを選ぶ。複数のカードを検討したい場合はクレジットカードを比較するサイトなどを参考にしてもいいが、最新の情報に更新されていないこともあるので、最終的には公式サイトで確認したい。

なお、カードによってはポイントサイト経由で申し込むとポイントが進呈されるケースがあるので、入会したいカードが決まっていれば、いくつかのポイントサイトで探してみてもいいだろう。

カード入会の申し込みフォームでは、

  • 名前と住所
  • 生年月日
  • メールアドレス
  • 年収
  • 職業と勤続年数
  • カード利用代金引落用の金融機関口座

などを入力。年収については額面年収を記載する。なお、本人確認書類については、スマホなどで撮影した画像データを送ることになる。スマホで申し込む場合、フォーム入力の途中で撮影のためのステップがあるはずだ。

ステップ2,審査

審査では返済能力を判断されることになり、収入や職業のほか、過去のクレジット利用履歴、延滞や破産といった過去の金融事故の有無もチェックされる。

審査にかかる期間はカード会社によって大きく異なり、即日から数日で終わるところもあれば、2~3週間かかるところもある。

なお、審査落ちの可能性を考えて、短期間のうちに複数枚のクレジットカードに申し込むことはおすすめできない。これは「多重申し込み」と呼ばれ、審査でかえってマイナスに働いてしまうからだ。

ステップ3,カード受け取り

カードの受け取りは一般的に郵送(あるいは宅配便)となるが、ポスト投函ではなく戸口での受け取りとなる。「本人限定受取郵便」で届いた場合は本人しか受け取れず、その際に本人確認書類(顔写真付きの公的証明書など)の提示が必要となるが、「簡易書留」なら同居の家族等でも受け取れる。

また、佐川急便の「受取人確認サポート」で届くこともあり、その場合は「本人限定受取郵便」とほぼ同じ対応となる。

一部のカードでは公式サイトから申し込み、店頭のカードカウンターで受け取れるものもあるが、その場合、必要書類の確認を受け取り時に行うケースがある。

たとえば、「セゾンカードインターナショナル」の場合、ららぽーとやPARCOなどにある「セゾンカウンター」でカードを受け取る際に、メールなどで通知される「受付番号」のメモのほか、「本人確認書類」「金融機関の届け印」「キャッシュカード・通帳など口座番号が分かるもの」を持参する必要がある。なお仮に、審査結果メール到着後より7日以内にカウンターでの受け取りのない場合は、自宅にカードが郵送されるか状況によってはそのまま解約となる。

ちなみに、あまりないことだが、まれに名前のローマ字表記が間違えたままカードが発行されることもあるので、届いたらすぐに確認し問題があれば即座にカード会社へ連絡したい。

4,クレジットカードを選ぶ8つのポイント

数多くあるクレジットカードの中から自分に合った1枚を見つけるにはどうすればいいのか?着目したいポイントを紹介しよう。

ポイント1,年会費

年会費無料のカードは気楽に作れ、複数のカードを持つ場合にも金銭的負担がないというメリットがある。一方、年会費有料のカードは各種の特典や付帯保険が充実し、一般的な傾向として年会費が高いほどその充実度は上がる。

年会費有料カードの中には初年度無料になるものや、年会費割引制度が用意されているものもあるので、年会費負担を考えるときはそうしたところまで踏まえて検討したい。

ポイント2,ステータス性

「人前で使って恥ずかしくないカード」を求める場合、クレジットカードのステータス性も検討することになる。一般的には、一般カード→ゴールドカード→プラチナカードの順にステータス性が高くなっていく。

また、カード会社については、流通系→信販系→銀行系の順にステータス性が高くなる。国際ブランド(JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブ)の自社発行カードも銀行系と同等以上のステータス性があると考えていい。

ポイント3,国際ブランド

日本で発行可能なクレジットカードの国際ブランドは主にVISA、MasterCard、JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブの5種となる。このうち初めてカードを作る場合は、加盟店数の多いVISAかMasterCardを選ぶのが一般的だ。ただし、日本国内とハワイや台湾など日本人観光客の多い地域でしか使わないならJCBも検討する価値がある。

アメリカン・エキスプレスやダイナースクラブは独自の特典やサービス、優待などが特徴となっているが、比較的加盟店数が少ないので初めて持つクレジットカードには不向きだ。2枚目、3枚目のカードのときなら検討してもいいだろう。

ポイント4,ポイント還元率

ほとんどのクレジットカードにはポイントサービスがあり、クレジット利用金額に応じてポイントが付与される。ポイントは賞品やギフト券、他社共通ポイント・航空マイルへの交換などが可能だ。

ポイント還元率とは、クレジット利用金額に対してどれくらいの価値のポイントが付与されるかを示すもので、一般的には0.5%前後、高還元率と呼ばれるカードでは1%以上となる。よりお得にクレジットカードを使いたいなら、還元率の高いカードをメインに使っていくことをおすすめしたい。

ポイント5,よく使う店舗等での特典の有無

よく使う店舗などでポイントアップや割引などの優待があるカードを選ぶとお得度が高まる。たとえば、JCBの自社発行カードではスターバックスカードへのチャージ分はポイント10倍、セブン-イレブンやAmazonの利用分はポイント3倍となる。

また、クルマに乗る機会の多い人はガソリンスタンド提携クレジットカードを持っていると、ガソリンを安く買えるなどのメリットもある。年間を通して考えるとかなりのお得となる。

ポイント6,上位カードは特典内容とのバランスを見極める

ゴールドカードやプラチナカードは一般カードより年会費が高額になる分、特典・サービスもより充実する。たとえば、多くのゴールドカードには国内主要空港のラウンジを無料で使えるサービスが付いている。フライト利用の多い人にとっては年会費以上のメリットとなるだろう。

またプラチナカードの多くには、高級レストランで2名以上のコースを予約すると1名分が無料になる特典が付いてくる。多くの場合、年に3~4回ほどの利用で年会費以上のお得となるはずだ。

こうした特典・サービスはうまく利用すれば年会費以上のメリットをもたらすが、使わなければ宝の持ち腐れとなり年会費コストばかりがかかることになるため、その点についてはよく考えたい。

ポイント7,付帯保険の内容

クレジットカード、特に年会費有料のカードの多くには海外・国内旅行傷害保険やショッピング保険が付帯するが、このうち特に重要なのは、医療費が高額になることが多い海外でのケガや病気の治療費などを補償する海外旅行傷害保険だ。 

海外旅行傷害保険のスペックを判断するときは、最高補償金額(死亡・後遺障害)もさることながら、ケガ・病気の治療費の補償限度額が重要で、その金額が大きいほど良い内容の保険と考えていいだろう。

また、ケガ・病気の治療費用の補償金額は複数の保険の合算となるため、旅行代金のカード払いの有無にかかわらず保険が付帯する「自動付帯」の保険ならメリットも大きい。年会費が高額なカードには、家族にも保険が付帯する「家族特約」付きのものがあるのでそこもチェックしたい。

ポイント8,カード付帯機能の有無

クレジット機能に加えて複数の機能を持つカードを持つと、持ち歩くカードを減らすことにつながる。たとえば、「ビュー・スイカカード」にはクレジット機能のほか、Suica、定期券、JRE POINTカードの機能が備わっており、何枚ものカードが1枚に収まったような形となる。

電子マネーやポイントカード機能が一緒になったカードにはほかに、「楽天カード」(クレジット機能+楽天ポイントカード+楽天Edy)、「dカード」(クレジット機能+dポイントカード+iD)、「ソラチカカード(ANA To Me CARD PASMO JCB)」(クレジット機能+PASMO+定期券+ANAマイレージカード+メトロポイント機能)などがある。

日常的に使っているポイントカードや電子マネーカード、交通系ICカードなどがあれば、それらの機能を併せ持つクレジットカードがないか探してみると、利便性の向上につながるだろう。

5,未成年者や学生、主婦、無職の人がクレジットカードを作るときの注意点は? 

未成年者や学生、主婦、無職の人などは、自分がクレジットカードを作れるのか?その疑問についてここで答えよう。

未成年者のクレジットカードの作り方

未成年者でも作れるクレジットカードかどうかは、公式サイトなどでカードの「申し込み資格」「入会資格」などの項目を確認すれば分かる。

年会費無料のカードなどには未成年者でも作れるものが少なくない。ただし、

  • 18歳以上
  • 高校生でないこと
  • 親権者の同意があること 

が一般的な条件となっている。このうち親権者の同意については、カード会社からの電話により親権者に確認される。

学生のクレジットカードの作り方

18歳以上なら大学生や専門学校生(一部を除く)でもクレジットカードを作れるが、親権者の同意が必要なことがある。なお条件を満たしていれば一般カードにも申し込めるが、収入の有無が問われない学生専用カードのほうが審査に通りやすい。

専業主婦のクレジットカードの作り方

本人に収入がない専業主婦であっても配偶者に安定した収入があり、申し込み資格の欄に本人の収入に関する記述がなければカードを作れる可能性がある。

無職の人のクレジットカードの作り方

年会費無料のカードのうち申し込み資格の欄に収入に関する記述がないものは、同居の家族に安定した収入があれば審査通過の可能性がある。

一方、年会費有料のカードであっても、本人に資産が十分にある場合、無職でもカードを作れる可能性はある。ただし、継続的収入のほうがより重視されるので、かなり多額の資産がないと審査通過は難しい。

年金受給者に関しては、たとえばアメリカン・エキスプレスの自社発行カードでは審査対象になるとされている。ただし、その場合も年金額のほか資産なども判断対象とされるだろう。

6,自身のニーズや支払い能力に見合ったカードを作ろう

クレジットカード選びにはさまざまな要素がからんでくるので、一度迷いだすとキリがない。しかし、ここで触れたことを参考にして、自身のニーズを見極めていけば、それに合ったカードを選ぶことは容易だ。

上位カードでは利用可能枠が大きくなるケースも多いが、ステータス性ばかりを重視してそうしたカードを作るのではなく、自分の支払い能力に見合ったものを持ったほうがよい。特に自己管理能力に自信のない人は、キャッシング枠を設定しないなどの工夫も心がけたい。

 

モリソウイチロウ
執筆・モリソウイチロウ
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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