人間の能力を拡張しソフトウェア開発の未来を創る

Image Credit:Augment

Augmentへの出資に伴いSchmidt氏は、Augmentが最良のチームとレシピを持っていると確信したと述べた。そこで、Augmentの可能性を探ってみたい。

社名である“Augment”は「増強・拡張」を意味する。これは生成AIツールが人間の仕事を奪うものではなく、人間の能力を大きく拡張するものであるという意図がうかがえる。

Augmentの製品担当副社長、Dion Almaer氏は生成AIについて以下のように述べている。

生成AIツールが開発者を補完することで最高のソフトウェアは生まれます。生成AIツールは人間を置き換えるものではありません。

生成AIは、進捗を遅らせる労働集約的な労力を排除しつつ、コーディングの楽しさに集中できるように開発者を支援できるのです。

このビジョンを実現するために、生成AIはコードベースを専門的に理解し、思考の速度で動作し、個人ではなくチームをサポートし、知的財産を慎重に保護する必要があります。

Augmentがこの新しい体験を提供し、ソフトウェア開発に革命を起こす準備が整っていると確信しています。

参考:Augment ブログ

生成AIツールの未来を阻む意外な伏兵

近年、生成AI市場は大きな盛りあがりを見せているが、著名なAI企業が多額の損失を出しているという報告がある。その要因として、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)のトレーニングと運用に多大なコストがかかることが考えられる。

生成AIの中核たるLLMは、扱うパラメーター数がある閾値を超えると、突然、性能が飛躍的にあがる「量が質に転嫁する」性質を持つ。

つまり性能の高いLLMのトレーニングと運用には、膨大なパラメーターを処理可能な、莫大なコンピューティングパワーが必要だ。

世界的に生成AIの開発競争と普及が進む中で、膨大な数を必要とすることもあって、このパワーを提供可能なNVIDIAのGPUは、高価であるにも関わらず需要が爆発している。

ゴールドラッシュでは、金鉱夫よりも宿屋やジーンズ、シャベルを売った者が儲かったという。いま、起きていることは、シャベルであるGPUや宿屋たるGPUデータセンターの宿賃が高価すぎて、下手をすれば退場を迫られることだ。

GPUも「18か月で性能が2倍になりコストが低下するムーアの法則」に従うだろうから、その間を調達資金でしのぐ危うい綱渡りが可能かもしれない。

しかしこの問題の根っこをのぞけば、Augmentはその使命を果たし、人間の創造性の発揮を最大限に支援可能な革命を起こせるかどうかが問われている。それによって妥当な収益を得ることができるかどうか、ビジネスモデルが成立可能かどうかが問われているのだ。

参考・引用元:Augment

文・五条むい
X(Twitter):@catalyticforce