上司に自分の提案や相談をなかなか聞いてもらえない、「話が浅い」と言われてしまう、社会人になったら学生の頃より自分が「できない人間」になった気がする。
そんな人はもしかすると、「SQ(社会的知性)」という観点が欠けているのかもしれません。
今回、U-NOTEでは、ベストセラー『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者・安達裕哉さんに、上司に提案や相談を聞いてもらいやすい人・聞いてもらえない人の違いや、「頭の良い人」と言われるポイントとなるSQ(社会的知性)などについてお聞きしました。
上司に提案や相談を聞いてもらいやすい人・聞いてもらえない人
―――仕事などで提案や上司への相談をした時に、拒絶されないで取り合ってもらえるような、話を聞いてもらいやすい人とそうでない人の違いはどこにあるのでしょうか。
上司=相手の都合を考えている人の方が相談や話を聞いてもらいやすいのは間違いないと思います。自分勝手な相談をして、上司が怒っているのに気づかないでいるパターンはよく見かけます。
―――企画や提案などを通したい時、自分の意見を取り上げてもらえるような、人の心を動かす会話に必要な要素について教えていただきたいです。
基本的には信頼関係がある人です。人間というのは、他人には無関心で冷淡ですが、”身内”に対しては優しいという特徴があります。身内とは、利害関係が一致している人のことです。
自分と相手の利害関係が一致していることが、相手にちゃんと伝われば動いてもらいやすいです。つまり、心を動かす会話とは、相手の利益になるような話ができるかどうか。コミュニケーション力が高いと言われる人に共通しているのは、相手の都合や、相手の利益を考えている点です。
特にビジネスでは、自分の主張を相手の主張と一致させることがポイントになります。平たい言葉で言うと「Win-Win」ですね。
「話が浅い」と言われたらどうしたらいいのか
―――「話が浅い」と言われがちな人が、話を深くするコツについても教えていただきたいです。
「統計データを調べること」と「自分の主張とは真逆の主張を調べること」の2つがあります。これは自分の主観的な意見ではなく、客観性を保つためです。
自分の経験則だけでなく、多くの数で調べたらどうなるのかを知ることが重要なんです。会社で上司から「統計データはどうなっているんだ」と言われた方も多いのではないかと思います。
科学者でも自分の意見を強化する主張ばかり探す人が多いのですが、自分と反対の立場を取る人の意見をちゃんと調べることで、世界の広がり方が変わってきます。客観性を保つためには絶対に必要な作業だと、私は上司から言われてきました。
―――自分の考えと反対する人の主張を調べることで、反論が来た時に対応できる効果があるのでしょうか。
それはあります。ただ、IQが高い人ほど、自分の主張を強化する主張、自分に都合の良い理屈ばかり見つける傾向があるという研究結果が出ています。頭が良い人ほど陥りやすい罠で、賢い人ほど屁理屈をつけて自分の意見を正当化しやすいんです。
―――IQが高い人が陥りがちな罠は他にもあるのでしょうか。
頭が良い・賢いと言われる人は、論理で通そうとする傾向があります。論理的には正しいけれども、相手のため、相手の利益になっていないため、感情的に納得してもらえないことがあります。これは、SQ(社会的知性)の話にも深く関わっています。
SQ(社会的知性)が十分に育っていないと、屁理屈を並べたり、論理だけで押し通そうとして反発を受けたりします。これが「あの人は頭は良いんだけど……」と揶揄される人の正体なのです。