商用車の名門マツダが放った、バン/ワゴン革命
現在はSKYACTIVテクノロジーや流麗なデザインを武器に、プレミアムメーカー的な独特の立ち位置で好調を維持するマツダですが、そもそもは戦前からオート3輪でダイハツと並ぶ小型商用車の名門であり、戦後も性能とデザインに優れたオート3輪メーカーでした。
戦後も3輪、4輪ともに商用車でのし上がり、4輪乗用車こそ1960年代に入ってからの後発でしたが、1960年代前半には商用車を合わせた生産規模でトヨタすらしのぐ大メーカーだったこともあります。
そんなマツダは、ヨーロッパでフォルクスワーゲン タイプ2(日本では通称「ワーゲンバス」)などフルキャブオーバータイプの1BOXバン/ワゴンが人気なことから、日本でも売り出そうと企画。
他社のように軽1BOX車ではなく、3列シート8人乗りが可能な800cc級の小型フルキャブオーバー1BOX車の初代ボンゴを開発しました。
構造はリアエンジン・リアドライブのRRレイアウトで、リアにファミリア用800cc水冷直4OHVエンジンを縦置きに搭載するという、スバル サンバーに近いレイアウトであり、サンバー同様にリアのエンジン部は盛り上がるものの、中央部を低床化しています。
これでバンなら450mm、トラックでは460mmの低い床面地上高によって、荷物の積み下ろしも人の乗降も楽ですし、フルキャブオーバー1BOX車なので、車内も広々。
それだけなら同じRRレイアウトのサンバーと変わりませんが、軽ではないボンゴはさらに3列目シートを追加した乗用登録のワゴン、「コーチ」を設定していたのがポイントで、今のハイルーフミニバンの元祖と言えるでしょう。