債務整理の方法

 では、こうした飲食店の高頻度な利用のために借金が膨らんで返済が困難になってしまった場合、どのような対処をすればよいのだろうか。ベリーベスト法律事務所の菅谷良平弁護士はいう。

「債務整理の手段として比較的軽いのが任意整理で、比較的収入が安定していて負債が大きくない場合に使われます。弁護士が借り入れ先の業者と返済条件について交渉し、利息分の支払いをなくして返済額を元本のみにしたり、支払い期間を長期にして毎月の支払額を低くおさえたりします。もっとも、返済期間が4~5年になるケースも珍しくなく、債務者は長期間にわたり節制と倹約に努めなければならないため、それなりに苦しい生活となります」(同)

 負債が大きいなどの理由で元本の支払いも難しい場合は、より重い手続きである自己破産という選択肢を検討することになる。

「元本の支払いも免除されて借金がなくなる一方、原則として保有する資産(多くの裁判所の基準では20万円以上の評価額がつく資産)を手放して返済に充てる必要があります。裁判所に申し立てをして認めてもらう必要があり、免責不許可事由が定められているため、負債の主たる要因の内容によっては免責が許可されないこともあります。

 借金がなくなるというメリットがある一方、保有する資産(多くの裁判所の基準では20万円以上の評価額がつく資産)は処分しなければなりません。公平・平等の観点から全ての借入先に対して返済を止めるため、自動車ローンを組んでいる場合は車を引き上げられてしまいますし、奨学金の返済も止まるので保証人である親に返済義務が生じたりします。

 ちなみに、免責不許可事由によって自己破産が許可されなくても、裁量免責というものが認められる場合もあります。生活態度や反省状況、家計状況などから債務者の立ち直りが可能と裁判所によって判断された場合のみ、許可されます」(同)

 この任意整理と自己破産が使えない場合、個人再生という手段が残されている。

「負債のうち一定の割合を減額し、たとえば500万円の借金のうち400万円が免責されて100万円だけ返済するというものです。裁判所の許可が必要ですが、負債ができた原因、つまり借金の使い道は問われません」(同)

 もっとも、これらの債務整理を行うデメリットも大きい。

「多くの金融機関が情報を共有している信用情報機関に事故情報として登録されるため、一度、任意整理や自己破産をすると各種ローンが利用できなくなったり、クレジットカードに加入できなくなったりします」(同)

(文=Business Journal編集部、協力=菅谷良平弁護士/ベリーベスト法律事務所)

提供元・Business Journal

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