桜咲き誇る春に開催されたF1日本GPの決勝日は昨年以上の盛り上がり

4月5〜7日に鈴鹿サーキットで開催された2024F1世界選手権日本グランプリ。3日間の来場者が昨年を上回る22万9000人となり、盛況のうちに幕を閉じた。昨年10月もそうだったが、あくまでも体感ではあるものの明らかに海外からと思われる観客も多く来場しているように見受けられたのも印象的だった。

今年のF1日本グランプリは仕事の都合もあってテレビで観戦と考えていた筆者だったが、ありがたいことに決勝日のF1パドッククラブへのお誘いを急遽頂戴したため、二つ返事で予定を一転、現地に向かうことになった。

パドッククラブとは何かについては昨年の記事を御覧いただくとして、本稿では決勝日でのまた違った景色とともに、F1公式パートナーのフェッラーリのアレッサンドロ・ルネッリ氏に聞いた、フェッラーリとF1の意外な共通項について紹介したいと思う。

フェッラーリがスパークリングワイン界で6度の世界王者となった3つの理由
さて、今回も憧れのF1パドッククラブで決勝日を過ごすという機会に恵まれた筆者だが、招待をしてくれたフェッラーリ社に敬意を表することも含め、絶対に聞いておこうと決めていたことがある。それは、どうやってフェッラーリが6度もの”世界王者”(※)になったのか、だ。ただ美味しい、というだけではない、何か秘密があるはずだ。その点について、3代目当主の一人、フェッラーリ社の副社長、アレッサンドロ・ルネッリ氏に話を聞いた。
※ここでいう世界王者は、ロンドンで毎年開催されている世界で最も重要かつ権威ある国際コンペティション、シャンパン&スパークリング・ワイン・ワールド・チャンピオンシップ(以下、CSWWC)におけるスパークリング・ワイン・プロデューサー・オブ・ザ・イヤー(最優秀生産者)のことを指す

「まず、トレンティーノという唯一無二の場所の山の斜面にワイナリーを構えていること。昼は豊かな日照のお陰で温暖であり、夜はイタリアン・アルプスからの冷たい風が畑に吹き込むため気温が下がります。この寒暖差が生まれること、これは普通のように聞こえるかもしれませんが、実に特別に重要な点です」
「2つ目は、122年の歴史だと思います。ワイン造りはその方法を習得したからといって、いいワインができるとは限りません。何年も何年も試行錯誤を繰り返している経験が大切だと思います。フランスのシャンパンの生産者にはもっと古い生産者はいると思いますが、イタリアでは一番の歴史があります。このキャリアは他社には真似ができません」
「そして、3つ目は人間だと思います。日本人とイタリア人の共通点を感じることがあります。とくに日本は組織的に緻密な仕事ができるところであり、そういった仕事は私たちのモットーでもある”Excellence in every detail.(意訳:素晴らしいものは細部に宿る)”とも繋がります。アリストテレスの言葉にもあるとおり、ユニークな行動よりも、緻密なワイン造りの一つ一つのプロセスを習慣として行うことにこだわっています。さらにいえば、私たちフェッラーリ社はファミリーで経営していて、同じ情熱をもって取り組んでいることも強みだといえるでしょう」