雨の日には、様々な場所にカタツムリが大量に出てくるものです。
カタツムリが壁や斜面を難なく移動しているのを見かけたこともあるでしょう。
また彼らが、交尾や水分保持などの目的で、仲間同士群がっている様子も観察できます。
香港中文大学(CUHK)理工学部に所属するティン・ルン・ラン氏ら研究チームは、そんなカタツムリたちにインスピレーションを受けたロボットを開発しました。
強磁性の殻と戦車のような履帯で構成されたそのカタツムリロボットは、単体でも行動できますが、群れで協力することで、様々な地形を移動したり、腕のように物をつかんだりできます。
研究の詳細は、2024年4月29日付の科学誌『Nature Communications』に掲載されました。
有能なカタツムリにインスピレーションを受けた科学者たち
その見た目や動きから、苦手な人も少なくない「カタツムリ」ですが、科学者たちは彼らから多くを学んでいます。
例えば、アメリカのペンシルベニア大学は、2021年にカタツムリの粘液から着想を得た「超強力接着剤」を開発しています。
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また、カタツムリが足から分泌する粘液は、様々な地形を歩く際に役立っています。
もともとカタツムリでは、筋肉でできたお腹全体が足の役割を担っており、彼らはこの「腹足」を波打たせるようにして動かし、どんな地形でも歩くことができます。
この特殊な歩行に粘液がプラスされることで、カタツムリはスムーズに移動できるだけでなく、どんな表面にもくっつきます。
彼らは、濡れていて滑るような場所でも、ごつごつした岩の上でもバランスを崩しません。
壁を這い上がったり、天井を逆さまになったまま横断したりすることさえ可能なのです。
さらにカタツムリは、腹足を吸盤のように用いて吸着力を高め、その場で静止することもできます。
今回、香港中文大学に所属するティン・ルン・ラン氏ら研究チームは、そんなカタツムリからインスピレーションを得て、新しいタイプのロボットを開発しました。