渋滞都市ジャカルタ
ここで、インドネシアの首都ジャカルタの交通事情についても触れる必要がある。
ジャカルタの渋滞は「世界最悪」とも言われるほどで、平日の通勤ラッシュ時は車で数キロ移動するのに1時間以上かかることも珍しくない。これは、ジャカルタで進められている都市鉄道建設の話題にもつながる。
近年では公共交通機関の整備が進んできたとはいえ、ジャカルタ市民の主な交通手段は今でも車かバイク。このような環境で、体調不良の人が自宅から病院へ足を運べるだろうか。そのうえで窓口で長時間待たされるのだから、本人にとっては拷問に等しい。
そうした背景から、インドネシア都市部ではオンライン医療サービスに大きな需要があるのだ。
パンデミック前から進められる医療のDX化
そんなHalodocは2023年7月、アストラ・インターナショナル主導のシリーズD投資ラウンドで1億ドルの出資を得ている。
インドネシアのデジタルヘルス分野の成長は、パンデミック以後も衰えを知らない。HalodocとGojekは医療のDX化に大きく貢献し、医療サービスの公平性・透明性の向上をすでに成し遂げている。
もちろんHalodocとGojekだけではない。QRコード決済サービス、オンライン問屋プラットフォーム、スマート養殖システム、小規模農家への融資を目的としたP2Pレンディング。これらのオンラインサービスは、インドネシアではパンデミックの数年前から多くの人が利用している。大学生の独自研究がスタートアップ設立につながり、数年を経てユニコーン企業に成長するということも珍しくなくなった。こうした意味で、インドネシアはすでに日本を凌駕しているという見方もある。
言い換えれば、多くのことをインドネシアのスタートアップから学べるということである。
参照元:
Halodoc
Gojek
(文・澤田 真一)