ショルツ独首相が今月14日から3日間、中国を訪問した。同首相にとって首相就任後2回目の訪中だった。いつものように大規模なドイツ経済使節団を引き連れての訪中だった。目的は低迷するドイツ経済を回復するために、同国最大の貿易相手国・中国との経済関係の強化だ。同時に、ドイツ企業の中国市場へのフェアなアクセスを獲得することにあった。例えば、電気自動車(EV)では安価な中国製EVの欧州市場への進出を受け、ドイツの自動車メーカーは苦戦を余儀なくされている。EU側は特別関税をちらつかせながら、北京側の対応を要求している。
そしてショルツ首相が訪中からベルリンに帰国すると、立て続けに中国が絡んだスパイ問題が発覚した。ショルツ首相の訪中前にスパイ問題が発覚すれば、中国での経済協力協議がスムーズにいかなくなる恐れがあったはずだ。スパイ問題が訪中後に発覚したのは、ショルツ首相の政治的な判断があったはずだ。決して偶然のことではないだろう。
ドイツ連邦検察庁は22日、中国の情報機関のためにスパイ活動をした容疑で、ドイツ人の男女3人を逮捕したと発表した。彼らは軍事利用可能な技術に関する情報を入手したとされており、デュッセルドルフとバート・ホンブルクで逮捕された。中国外務省はこれらの疑惑を否定し、「中国のスパイ活動によるいわゆる脅威論だ。新しいものではない。その背後には中国を中傷し、『中国とヨーロッパの協力の雰囲気を破壊する』意図がある」と強く反論している。なお、中国側に伝えられたとされる情報には、強力な船舶用エンジンに使用可能な機械部品に関するものなどが含まれていたという。