論点がよくまとまった高橋浩祐氏の記事です。
海自哨戒ヘリ墜落事故、艦長経験者「任務増加が訓練機会や訓練期間を圧迫」と問題視
2機は事故当時、互いの位置情報などを共有する「僚機間リンク」と呼ばれるシステムで結ばれていなかった問題点が指摘されている。
海自の艦艇艦長経験者のベテラン隊員は筆者の取材に対し、北朝鮮による相次ぐミサイル発射への対応や、中国公船が領海侵入を繰り返す沖縄県の尖閣諸島周辺での警戒監視活動の強化など、海自隊員の任務の増加が訓練機会や訓練期間を圧迫している問題点を指摘した。
同隊員は「任務の増加が訓練機会や期間を圧迫していることは、長年海自では問題視しされている」と強調した。
「人手不足の中、そのしわ寄せが海自の現場に押し寄せているという見方は正しいか」との筆者の質問に対し、前述の海自ベテラン隊員は「間違いではないと思います」と明確に答えた。
実際に自衛隊の多国間共同訓練への参加実績は2013年度が19回だったのに対し、2022年度はその2倍以上の43回に及んでいる。中でも自衛隊と米軍の主な共同訓練は急増している。2013年度が24回だったのに対し、2022年度は108回に達した。つまり、この10年間に4.5倍も日米共同訓練が増えたことになる。
この10年間で充足率は上昇したものの、定員が4万5517人から4万5293人へと224人減ったことになる。
報道からみれば、今回「僚機間リンク」が使われていなかったことが直接的な原因だと思われます。単なるミスなのか、何らかの意図があって使わなかったのか、あるいは故障していたのか、などが考えられますが、それを明らかにすべきだと思います。
遠因は人手不足と過重労働だと思います。まず哨戒ヘリの搭乗員は地上部隊よりも適性が厳しいので、より確保が難しいことが挙げられます。
また、今回整備に問題があったかどうかは不明ですが、全体的に整備も含めて人手不足です。
少ない人員に無理をさせてきたのが原因でしょう。しかもまだ海自は人手不足に鷹揚に構えています。いじめやパワハラを組織的に隠蔽する体質は変わらない。中途退職者が辞めた理由も理解も分析もできていません。バケツから水が漏れるような中途退職者を止める有効な方策は、組織文化の変革ですがこれが難しいでしょう。