各社の報道姿勢は、4日に「他の問題発言」は報じたが、情勢を見て5日には「書いたらその社は終わり」についても書くようになった、と概ねまとめることができます。
現に、4日のANN(テレビ朝日がキー局)の上掲動画では「書いたらその社は終わり」の部分が華麗にスルーされているのが分かります。言論弾圧の脅迫文言として、報道機関にとっては死活問題となる発言のはずですが…
それでも、朝日新聞は5日には以下のように触れて論じていました。
朝日新聞 社説 復興相発言―こんな人では心配だ 2011年7月5日(火)付
松本龍復興担当相が就任後初めて訪れた東日本大震災の被災地で、いきなり脱線した。政府の復旧・復興への取り組みを約束すると思いきや、岩手、宮城両県知事に対し放言を重ねた。
いわく「知恵を出したところは助けるが、知恵を出さないやつは助けない」。
いわく「県でコンセンサスをとれよ。そうしないと、我々は何もしないぞ」。
この上から目線は何なのだ。政府と自治体は「上下・主従」でなく「対等・協力」の関係であることを知らないのか。
もちろん復旧・復興の主役は被災者であり、その自治体だ。何でも政府に頼るのではなく、みずから青写真を描く責任がある。だが、財源も権限も情報も握る政府がそれを支えてこそ、作業は円滑に進むのだ。
松本氏は「九州の人間だから東北の何市がどこの県とかわからない」とも言った。3カ月余り、防災担当相として日夜、東北の地図を見つめてきたなら、こんな軽口はたたけまい。
極め付きが、宮城県の村井嘉浩知事への叱責(しっせき)だ。
後から県庁の応接室に入ってきた知事に「お客さんが来る時は、自分が入ってから呼べ」と言ったばかりか、取材する報道陣にも「今の言葉はオフレコです。書いたら、その社は終わりだ」と続けた。
相手が旧知の知事だという気安さはあったろう。復興相専任になったばかりの気負いもあったのかもしれない。
だが、こんな発言はあり得ない。そもそも松本氏は「客」ではない。被災者とともに汗をかく役割を担っている。それに松本氏に、知事の後ろにいる被災者の姿が見えていれば、あんな言い方はできっこない。
こんな人物が復旧・復興の司令塔として適任なのか。とても心配だ。野党は一斉に批判しており、またぞろ菅直人首相の任命責任も問われそうだ。
紙面でも同様に発言をまとめていました。
次に、毎日新聞も4日の時点では「書いたらその社は終わり」には触れていませんでした。「オフレコです」までは書いていたのに。
ところが、5日になると「書いたらその社は終わり」まで報じるようになりました。
日経新聞も5日には松本大臣の問題発言をまとめ「書いたらその社は終わり」に触れています。
共同通信の配信記事にも記述があったようです。
なお、田原総一朗氏が4日と5日の報道の仕方に差異があると認識しているのが見つかりますが、「書いたらその社は終わり」に関する実際の紙面の態度と一致しています。
松本さんが辞任した。松本さんの岩手宮城県知事との会談は大いに問題ありだ。特に言葉遣いが乱暴過ぎた。テレビカメラがある前でこんな乱暴な言い方をするのは自殺行為である。だが僕は松本さんが憤るのはよくわかる。被災地の自治体はもっと具体的に再建計画を進めそして国に具体的に求めるべきである
— 田原総一朗 (@namatahara) July 5, 2011
メディアはその甘えを批判せず、一方的に松本さんを責め立てる。それも4日の時点ではおっかなびっくりでまるで書かない新聞もいくつもあった。そして世論が反松本だとわかると5日に急に大スペースで大批判した。だらしないぞと思う。
— 田原総一朗 (@namatahara) July 5, 2011