AIと人間(公認会計士)で税務・確定申告を徹底的に効率化
FlyFinは「税務・確定申告をAIで自動化」というアイディアから生まれたアプリだが、実際にはAIと人間(公認会計士)の双方の強みを生かしたサービスだ。
FlyFinを銀行口座と連携することで、仕訳が必要な支出が発生するたびに通知を受け取ることができる。アプリを開くと、AIが勘定項目を提案。提案が正しければそのまま受け入れ、間違っていれば他の勘定項目を選ぶことでAIがさらに学習を進める。
とは言え、経費に含められるかどうか、判断のつかない取引もあるだろう。例えば同社の公式YouTubeチャンネルでは、俳優をしているユーザーからの「Netflixの料金は経費になるか」という質問に対し、「俳優業で演技を学ぶための契約であれば経費になる」と回答している。
まさにケースバイケースで、AIに判断を任せるのは不安だろう。そんなときは、「人間」の出番となる。
FlyFinは公認会計士のチームを抱えていて、支出ごとにテキストベースで相談できるのだ。さらに、税務・確定申告も公認会計士が代行してくれる。万が一、税務調査が入った際にも公認会計士が間に入ってくれるなど、無料でサポートしてもらえる。
このようなサービスが1か月16ドル(年間192ドル)で使える。Jaideep氏が公認会計士に支払っていた1500ドルと比べると雲泥の差だ。しかも、FlyFinには返金保証まである。日本でもFlyFinのようなサービス登場が待たれる
日本にもAIで確定申告を効率化できるアプリがある。Taxnapという1ヵ月あたり980円のサブスクリプション・サービスだ。筆者も実際に使ってみた。金融機関と連携すれば、支出が発生した時点で通知が入り、勘定項目の提案とともに経費に含めるかどうか聞いてくる。ここまではFlyFinと同じだ。
しかし、Taxnapでは日々の支出について個別に相談はできない。税理士の出番がくるのは税務調査が入るリスク診断の際だけだ。この診断はTaxnapで確定申告書を作成した場合のみ、追加で1万9800万円を支払えば利用できる。
とはいえ、診断結果について質問することは一切できない。診断してくれた税理士とやり取りをするなら、より高額な顧問契約を検討する必要がある。筆者の場合は「税務調査が入るリスクはほぼゼロ」とのことで少しは安心できたが、保証があるわけでもない。Taxnapが税理士との距離を縮めてはくれるものの、まだまだ遠い存在に感じられるのが正直なところだ。
Taxnapの月額980円を1年間払って、さらに診断を受けると3万円を超える。FlyFinの年間費用192ドルを2024年4月の為替レートにて換算すると約3万円。金額はほぼ同じだが、安心感は比べるべくもないだろう。日米では税制度および状況が違うのだろうが、日本でもFlyFinのように税の専門家と気軽にコミュニケーションが取れるサービスが生まれることを期待したい。
引用元:FlyFin AI
(文・里しんご)