Foxconn出資のファンドから資金調達
IMG社はインドネシアの電動二輪市場では後発と言ってもいい。インドネシア企業による初の電動二輪は、2017年6月にViar Motor Indonesia社が発売(参考)。Viar Motor Indonesia社はバイクライドシェアのGrabも顧客に抱える二輪・三輪販売メーカーだ。
2019年4月には、インドネシア企業で2例目となるGesits社の電動二輪の予約販売が開始され(参考)、電動二輪車に参入する企業が続々と登場している。
それでも、IMG社は2023年8月に5000万ドルの資金調達に成功した。この資金調達には、FoxconnがCTBCと共同で立ち上げたファンドも参加。FoxconnといえばiPhoneの受託製造で世界に名を馳せているグループだ。なお調達した資金は、ALVA製品開発の加速とネットワークの拡大に使用するという。
スマートかつ遊び心をくすぐる専用アプリ
ALVAは電動バイクを手がけるほか、電動バイク向けの専用アプリ「MY ALVA」を展開している。同アプリにはさまざまな機能があり、バイクに乗った履歴をすべて見ることも可能だ。走行距離や消費電力、CO2削減量、移動にかかったコストなどのデータも見ることができる。さらに、過去の実績だけでなく、これから訪れる場所への移動コストも事前に計算してくれるという。
また、緊急時の対応も充実。盗難防止のため、バイクが動かされたときにスマートフォンに通知が入る。また、走行中に転倒した場合は事前に登録している家族などに、位置情報が入ったメッセージが送信されるという。
アプリで利便性が高まっているのはもちろんだが、遊び心を感じられる機能もある。
たとえば、3km以内にALVAユーザーがいればアプリ上に車種と現地点からの距離が表示され、テキストメッセージのやり取りなどができる。プライバシーにも配慮されていて、位置情報や個人情報は表示されないし、他のユーザーのアプリに表示されない設定も可能だ。
また、ランキングがあるのも興味深い。単純な走行距離の長さはもちろん、1kWhあたりの距離、バッテリー1%あたりの距離といった効率的な走り方によるランキングもある。
バイクを単なる移動手段ではなく、楽しめるものにしようという意図がうかがえる。
競争を勝ち抜けるか
脱炭素化の機運が世界各国で高まる中、電動二輪市場は拡大が見込まれているため、今後も新規参入者の増加による競争の激化が予想される。
現在インドネシア二輪市場の95%を占めると言われる日本勢の動向も見逃せない。たとえば日経経済新聞によるとホンダは2030年までに、インドネシアでの二輪の売上の約20%(100万台)を電動にする計画だ。同社は2024年のPEVS(電動自動車・電動二輪のモーターショー)でも、自社の電動二輪に試乗できる機会を設けている(参考)。
IMG社が国内外のメーカーとの競争を勝ち抜けるか、今後も注目していきたい。
参考・引用元:ALVA
(文・里しんご)