同時に生まれた言葉「命を鴻毛の軽きに比す」「木石に非ず」

(画像=『FUNDO』より引用)
司馬遷の文章から生まれた故事成語は他にもいくつかあります。
それが「命を鴻毛の軽きに比す」と「木石に非ず」などです。
最後にこれら「命を鴻毛の軽きに比す」「木石に非ず」についても見ておきましょう。
「命を鴻毛の軽きに比す」とは
「命を鴻毛の軽きに比す」とは大切なもののためであれば、命を捨てても惜しくないことの例えです。
司馬遷が皇帝の怒りで極刑宣告を受けたのは前述の通りです。
しかし、そこで「死はある時は泰山よりも重く、またある時は鴻毛よりも軽い」とも述べていたのです。
彼はその言葉で「何のために生き何のために死ぬかが大切だ」ということを説いたとされています。
そして、執筆中の歴史書を書き上げるため、死刑の代わりに宮刑を受けて生き永らえる道を選んだのです。
転じて、譲れないことのために命を捨てるくらいの覚悟を持つことを言うようになったとされています。
「木石に非ず」とは
「木石に非ず」とは人間は感情を持つ弱い存在であるということです。
もともと司馬遷は正しいと思って行ったことが原因で皇帝の怒りを買うことになってしまったとされています。
そして死刑の判決を受けた際に「私の体は木や石ではないのに」と嘆いたのだとか。
これは牢獄に閉じ込められたにもかかわらず、誰も助けてくれる人がいなかったことを回想した際の言葉とされています。
もしかしたら覚悟を持っていた司馬遷も、周囲はもちろん自分自身も弱い存在だと思っていたのかもしれません。