人気漫画を分析し、自分の漫画の欠点を知った

ーーー先人の知恵や経験を借りるという点は、三田先生の場合には具体的にはどういったことなのでしょうか。



人気漫画と自分の漫画を比較して、自分の漫画に欠けている点に早く気づくことです。

自分のオリジナルでがむしゃらに描いても成果が出ない場合には、自分の努力に何かが欠けているんです。

そこで、人気漫画を自分なりに分析し、自分の漫画には決めゼリフや見せ場がなかったといった欠点に気づいて、どう改善するかを学ぶ。

これは、作品=商品として欠けている部分を売れている商品から学ぶ、そして、自分の商品を改善することで成果が出る、というどの業界でも通じる基本だと思います。

ーーー営業職でいうと、営業成績が良い人と自分を比較することですね。

その通りです。営業成績が良い人は顧客に対してどういう取り組みをしているかを学んで、その方法をそっくり真似てみてください。自分に決定的に欠けている部分があるわけですから、そこは素直に謙虚に、営業成績のいい人がやっていることを一通り自分もやってみることが大事だと思うんです。

この時、「自分の能力が足りないから」「自分の努力が足りないから」とネガティブ思考をしないことが重要です。「ただ自分がうまくいく方法をやっていなかったから」だとポジティブにとらえると、じゃあ一度試してみようかと思えるようになり、そのうち成果が上がってくるはずですから。

同期でとんでもなく差がつくのなら、何かしらの決定的な原因があるかもしれないですけれど、3つ、4つ上の先輩が成績がよくて、自分の成績が振るわないのは、その先輩は上の人がうまくいった方法をやっているだけかもしれません。うまくいく方法って、だいたいがその職場の中でノウハウとして存在していて、単に先輩が後輩に引き継いでいるだけです。

だから、自分1人の努力で克服しようと思わず、素直に先輩に聞いてみると「これはこうやればいいんだよ」などと教えてもらえて成果が変わってくるはずです。

スピーディーに決断、実行することが大事

ーーー漫画家になられる前は、家業の衣料品店を手伝われていた先生が、漫画作りに生かした「個人商店の商売で得た教訓」について詳しく教えていただきたいです。

スピーディーに決断し、実行することです。家業は個人商店なので、商品の仕入れに時間をかけていると非常に効率が悪くなるので、結果的に決断と実行が速くなりました。だから、僕の漫画作りは速くて、そこがアドバンテージになっています。

コマ割りやセリフのチョイス、キャラクターの見せかたなどを決めることをスピーディに行うことで漫画の量産が可能になります。商品が大量に出荷できることは成果に結びつきやすいですよね。決断と実行に時間がかかるのは、何事においても不利なんですよ。

商売の世界は「タイムイズマネー」です。イーロン・マスクやジェフ・ベゾスも決断が速かったからこそあれだけ会社が急成長したわけで。新しくこれから伸びていく会社も人も、いかに決断を速くするかが重要だと思います。

インタビュー後編では、才能に恵まれない人が何をすべきか、三田先生が人生で学んだ「意外と簡単なこと」などについてお聞きしました。

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