米国心理学会によると、2021年に米国の教育機関は心理学の学士号を13万4,407人、修士号を3万2,270人、博士号を6,969人に授与したという。米国労働省労働統計局では、心理学者の雇用は2022年から2032年までに約6%増加する(全職業の平均よりもはやい)と予想されている。

需要の高い職業として心理学者やセラピストの活躍が期待されるなか、米国AIスタートアップのAKAは、AI療法ロールプレイプラットフォーム「Muse Alpha」を4月末に発表した。

同プラットフォームにより、メンタルヘルス専門家を目指す学生のトレーニングと教育に革命を起こす構えだ。

生成AIエンジン「Muse」開発のAKA

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AKAは、人間の知力と認知機能を支援または強化することをミッションに掲げる、2009年創業のスタートアップ企業。なお2015年11月には東京に日本法人を設立している。

これまで生成AIエンジン「Muse」を開発してスマホアプリ、PepperやMusioなどのソーシャルロボットと統合し、ユーザーの認知能力やコミュニケーションを支援してきた。

同社は2012年にシードラウンド、その後2013年と2016年にシリーズAラウンドで資金調達を実施。直近では、2021年1月にシリーズBラウンドにて資金調達に成功し、総資金調達額は3,260万ドルにのぼる。(出典:Crunchbase)

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そんなAKAが今回発表したMuse Alphaは、セラピストを目指す学生にユニークな没入型の体験、そして高度なAIセラピストとの模擬療法セッションを提供するプラットフォーム。学生がカウンセリングのスキルを練習し、患者と接する際の自信を育む環境をつくるという。

AIを活用してメンタルヘルス療法をロールプレイ

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Muse Alphaでは、学生がAIセラピストとのロールプレイングに参加し、実際の患者とのやり取りや治療セッションで遭遇する困難な状況をシミュレートすることが可能。これにより、学生が問題解決スキルとコミュニケーションスキルを身につけることを促す。

ロールプレイの後は、セッションを分析することで臨床的洞察を得て、患者のニーズに対する理解を深められる。ダッシュボードでは対話から高品質な要約と重要な洞察を生成するほか、時間の経過とともに患者の進捗状況を追跡することができるため、診断や管理計画の作成に役立ちそうだ。

なおMuse Alphaは、カウンセラーや病院に相談する前の認知行動療法(CBT)用の会話エンジンとして設計されており、既存の患者の精神段階と状態を毎日スキャンして監視するのにも適しているという。