金融リテラシーは、賢く生きていくために不可欠だ。2016年の研究によれば、金融リテラシーの高い若者は、クレジットカードの延滞損害金を支払う可能性が低く、またキャッシングもしない傾向があった。支払いは期日までに済ませ、高金利には手を出さないわけだ。

こうした“金融リテラシーの高い若者”とは、具体的にどんな人々なのだろうか。

ケンブリッジ大学が2023年に発表した金融リテラシーに関する調査では、厳選された3つの問題(金利・インフレ・リスク分散に関するもの)を出したところ、大学卒業者は高校卒業者よりも正答率が高かったという。ここで「学歴と金融リテラシーは比例する」という印象を抱く人もいるかもしれない。

ところが、同調査によると大学院卒業者のグループではインフレについては3割、リスク分散については4割が不正解だった。この結果から「教育レベルの高さと金融リテラシーの高さは必ずしも比例するとは限らない」こと、そして金融に関する情報の必要性がうかがえる。

若者が金融リテラシーをきちんと身につけ、賢い選択ができるようになってほしい──Realworldの創業者は、そんな思いで会社を立ち上げた。同社はお金だけでなく、健康やキャリアの知識まで、インタラクティブな教材で学べるプラットフォームを提供する米国企業だ。

金融リテラシー不足だった自身の経験から創業

Image Credit:Realworld

RealworldのCEOであり創業者でもあるGenevieve Bellaire氏はMBAホルダーで、ロースクールも卒業している。これだけの学歴を保持する彼女だが、金融リテラシーが完璧だったわけではないという。

社会に出てからというもの、Bellaire氏は確定拠出年金への加入方法や健康保険の選び方、税務申告など、分からないことだらけであることに気づいたのだ。学校でこのようなことを学ぶ機会がないことを嘆きつつも、Googleを駆使して「クレジット」や「保険料」などについて自力で学ぶしかなかった。

そして、友人たちも似たような状況にあることに気づく。学校で学べないのは誰もが同じで、社会人になってから見よう見まねで何とか切り抜けている状況だった。両親に頼るという方法もあるが、親になったからといって、全員が金融リテラシーを身につけているわけではないだろう。

さらに何千人もの人々にインタビューを実施し、この問題はBellaire氏とその友人だけの問題でないことを確信。この確信が、金融リテラシーなど、実社会をうまく生き抜くための知識を学べるRealworldの誕生につながったのだ。