今も厚いヴェールに覆われていてその実態がよくわからない北朝鮮だが、その中でも“地上の地獄”と呼ばれ恐れられているのが強制労働収容所である。話題のドキュメンタリー映画からこの“地上の地獄”の実態が垣間見えている――。
■強制労働収容所の実態を物語る証言の数々
北朝鮮のある男性は国を逃れようとしたが捕まり、強制労働収容所に送られた。彼は木を切り倒すために毎日山を登らなければならず、そこでは定期的に人が死んでいたのである。あるいは労働をする以前に、拷問によって命を落とす者も少なくないという。
2023年「サンダンス映画祭」USドキュメンタリー部門で観客賞に輝いた『ビヨンド・ユートピア 脱北(Beyond Utopia: Escape from North Korea)』は、ある家族の北朝鮮から逃れる旅を追った前代未聞のドキュメンタリー映画だが、その中には北朝鮮の“地上の地獄”といわれているの強制労働収容所の実態を物語る証言も含まれている。そこはいったいどんな場所で、収容されるとどんな体験をすることになるのか。

強制労働収容所に連行されるのはまず第一に“脱北”に失敗して捕まった者であり、その次には脱北者の家族であるといわれている。
ある男性は9カ月間拷問を受け、体重が35kgしかなくなるまでやせ細ったと語った。国外へ逃れようとしたが敢え無く捕まり、彼は強制労働収容所に送られ、木を切り倒すために毎日山を登らなければならなくなった。
同氏は切り倒された木の切り株が丘を転がり落ち、まだ登っている最中の収容者に襲いかかり、彼らの命を奪ったり、ひどい怪我を負わせたりもしていると語った。
「彼らの遺体の手足は折れ、(腹部の)傷口からは腸が漏れ出ていました。遺体が腐敗すると、それらは一体化しました」と彼は語った。
脱北の失敗者や脱北者の家族だけでなく、スパイ容疑で逮捕された者も強制労働収容所へ送られたという。
ある者は外国のスパイではないにもかかわらず、拷問によって自分が外国のスパイであることを認めるのを余儀なくされたため、強制労働収容所に送られたのだった。彼は自白の強要が知られることで拷問者たちが解雇されることを望んでいる。
