現在アフリカでは、大気汚染地域として有名なアジアを上回る勢いで、大気や水質などの環境汚染問題が深刻になっている。経済発展に伴う交通量の増加は、慢性的な交通渋滞を引き起こし、自動車排出ガスによる大気汚染や温室効果ガスの排出を増加させている。これは特に、工業化が進む都市部で顕著だ。

また、既存の発電所の老朽化や燃料価格の上昇、干ばつによるダムの渇水などにより、アフリカの電力供給は深刻な危機に瀕している。長時間にわたる計画停電も日常化し、経済活動や国民生活に多大な影響を及ぼしているのが現状だ。

こうした背景から石炭火力への過度な依存から脱却し、持続可能エネルギーへ転換することが喫緊の課題となっている。電気自動車(EV)への移行は、問題解決の鍵となるだろう。

世界におけるEV市場への需要と関心が急速に高まっている中で注目を集めているのが、Everlectricだ。包括的なソリューションを提供し、電気自動車の普及に取り組んでいる南アフリカ発のスタートアップ企業である。

独自ビジネスモデル「EV as a Service」で導入障壁を軽減

Everlectricの創業者Ndia Magadagela氏は、南アフリカの公認会計士であり実業家だ。

彼女は、アフリカを揺るがす気候変動問題への高い関心から、Deloitte時代の同僚であるPaul Plummer氏とWesley van der Walt氏と共に、二酸化炭素排出量の削減を目指す物流業界をターゲットとして、B2Bの電気自動車市場に参入した(参考1、参考2)。

Image Credit:Everlectric

電気自動車(EV)が環境へもたらす影響は多大だが、高額な導入コストや充電インフラの不足などの障壁が、普及を阻んでいる。そこでEverlectricは、クライアントが配送サービスに集中できるようになることを目指して、EVと充電インフラを一括でリースする独自ビジネスモデル「Electric Vehicles as a Service」(EVaaS)を構築し、EV導入の障壁を大幅に軽減した。

Image Credit:Everlectric

EVaaSの特徴を詳しく見てみよう。

・初期投資不要:EV導入に初期費用は不要
・充電設備不要:充電インフラへの投資は不要、全運用エリアに充電ポイントを配備
・燃料費用不要:パッケージに必要な全電力(燃料費用)を含み、急速充電器ネットワークで充電が可能
・最新EV提供: Everlectricは世界のトップEVメーカーと提携、最新テクノロジーを提供

クライアントはEV車両費から、充電インフラと電気料金、メンテナンス費用や保険まで含むパッケージの月額費用を支払うだけだ。これにより、初期投資も技術リスクもなくEVの導入が可能になり、燃料価格変動によるコスト増などの懸念もなくなる。