人事が“ほぼ全て”

 メガバンク行員はいう。

「銀行では上司による評価が持つ重要性が非常に重く、1度でも評価でバツがつくと挽回するのは極めて困難で、数年ごとに必ず行われる異動で大きな支店や花形の部署へ配属されなかったり、延々と昇進できないということが普通にある。肩書やポストが大きな意味を持つ銀行では、人事が全てとまではいわないが“ほぼ全て”というのが実情であり、昇進できないままだと不人気の関連会社やグループ会社に出向となり、その時点で銀行員人生はほぼ終わる。なので、みんな上司の評価を異常に気にしながら働いている。それが世間の銀行員への『内向き』『顧客軽視』といったイメージにつながっており、あながち外れていない。銀行以外の大企業には、どこでも似たような風潮はあるが、他業界の人間の話を聞く限り、銀行の人事至上主義は突出している。

 あくまで推察だが、この『みずほ銀行』の例で問題行為を報告された上司は、人事部を動かして特定の行員への退職勧奨までさせる権限を持っていたということは、役員昇進を控えた部長や支店長クラスの人間だったのではないか。銀行の人事部は、役員に言われれば指示を断るわけにもいかず、言いなりになって違法行為に手を染めてしまったというのは容易に想像できる。もっとも、銀行ではバッド評価を付けて昇進させなかったり、地方の支店に飛ばすくらいのことは普通にあるが、4年も自宅待機を命じるというケースは聞いたことがない。よほどこの上司が粘着質な性格だったのか、何かあったのかが気になる」

 別のメガバンク行員はいう。

「執拗な退職勧奨と4年もの自宅待機命令というセットで行員を退職に追い込むという手法もさることながら、恐ろしいのは、法律に沿って運用されるべき内部通報制度がまったく機能せず、通報内容が問題行為を行っている当事者である人事部に横流しされて、通報者への対応がコンプラ部門ではなく、その人事部に委ねられたという点だ。コンプライアンスの徹底が要求される業態である銀行、しかもメガバンクで、こんなコンプラ違反丸出しの事態が横行しているというのは、かなり問題がある。金融庁が動いてしかるべき対応をすべき事案といえる」

 こうした理不尽な実態が残るメガバンクでも、大半の行員は現実を受け入れて粛々と働いているという。その理由について別のメガバンク行為はいう。

「メガバンクは初任給はそれほど高くないものの、30代ではだいたいの人は年収1000万円台に乗る。さらに福利厚生や各種研修制度が分厚いため、実質的な年収はもっと高い。また『メガバンク行員』という肩書が持つ社会的信用度の高さは想像以上で、ローン申し込みなどで困ることはないし、大半の人は40~50代で出向となるものの退職金も多い。また、意外に思われるかもしれないが、金融庁の方針も影響して、特に支店は残業規制が厳しいため残業は少なく、年に2回は5連休くらいを取得できるので、ストレスは多いものの比較的人間らしい生活は送れる。要は理不尽なことには目をつぶって大人しくして残っていれば、こんなに美味しい仕事はないということ。もっとも、メガバンク特有の息が詰まるような空気感に馴染めない人や、上司の命令は絶対という兵隊扱いに我慢できない人には無理だろう」

(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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