二酸化炭素を削減・雇用も創出、高い信頼性で政府機関も顧客に

2024年4月、Treeappは17か国で420万本の植樹を達成したと発表している。これにより、2,733ヘクタール(東京ドーム584個分)の森林再生を達成し、59万4,543トンの二酸化炭素を吸収できたとのことだ。この二酸化炭素量は、ロンドンとニューヨークを飛行機で34万9,731 回往復したときに発生する量に相当する。

さらに各国の植樹で4万2,000日分(115年分)の労働を生み、雇用を創出。世界に大きなインパクトを与えていると言っても決して大げさでなく、実際にTreeappの共同設立者3人はForbes誌の「世界を変える30歳未満(2022年)」にも選出されるなど、注目を集めている。

Image Credits:Treeapp

Treeappは、自社の基準で勝手に環境活動を行っているわけではない。炭素排出量はEUや世界銀行のデータを基に算出している。プロジェクトについても、Gold Standardなどの第三者機関が定める厳格な基準に沿って実施されているという。

さらに、Treeapp自体が2021年にB Corp認証を受けており、環境に配慮したビジネスを展開していることが認められている。信頼性を高めるためのこうした取り組みは、実際に功を奏している。Treeappを採用する企業や団体の数は1,000を超えているのだ。顧客リストにはThe EconmoistやMarriott、L’Oréalなどの大手企業のほか、イギリスの司法省までもが名を連ねている。

社会貢献活動がそのままビジネスとして成立

顧客からの信頼獲得に成功しているTreeappの活動は、ビジネスとしても大いに評価されている。2021年5月にはJenson Funding Partnersからの資金調達にも成功(金額は非公表)。2022年にはBUSINESS INSIDER公式サイトで「気候変動に取り組む有望なスタートアップ」のひとつとして取り上げられている。

社会貢献活動をビジネスとして成立させるのは並大抵のことではないが、Treeappはそれを達成しているといえるだろう。環境問題への取り組みが企業にとって必須のものになりつつある今、同社から学べることは大いにありそうだ。
なお、アプリ「Treeapp」は現在イギリスとアイルランドでしか利用できない。対応地域をこの2か国に絞っている理由を同社にメールで問い合わせたところ、「広告主のほとんどがローカル企業であるため」との回答があった。たしかに、広告主の事業がイギリスおよびアイルランド国内向けのものなら、他国で広告を出すメリットはない。

とはいえ、回答には「他国への拡大も視野に入れている」旨も添えられていた。Treeappの今後の動きに注目していきたい。

(文・里しんご)