写真:Getty Images

2023明治安田生命J1リーグ第13節の計9試合が5月12日から14日に行われ、湘南ベルマーレは13日、本拠地レモンガススタジアム平塚で北海道コンサドーレ札幌と対戦。最終スコア2-4で敗れた。

直近のリーグ戦3連敗と、暗雲が漂っている現15位の湘南。ここでは札幌戦を振り返るとともに、この試合で浮き彫りになった同クラブの守備の課題について言及する。


湘南ベルマーレvs北海道コンサドーレ札幌、先発メンバー

湘南vs札幌:試合展開

この日の湘南は札幌と同じく、[3-4-2-1]の基本布陣を採用。FW町野修斗を起点にハイプレスを仕掛けたものの、前半1分に札幌のDF岡村大八の左サイドからの突破を許すなど、守備が機能せず。最終ラインや中盤の隊形変化が激しい札幌のパスワークへの対応が後手に回り、ホームチームは劣勢に陥った。

前半6分には、札幌のMF金子拓郎のクロスからMF駒井善成に先制ゴールを奪われてしまう。この場面で湘南は[5-4-1]の守備ブロックを敷こうとしたが、自陣の左サイドを簡単に突破されてしまった。

後半8分、札幌のDF岡村が自陣ペナルティエリア内でハンドの反則を犯し、湘南がPKを獲得。同14分にキッカーの町野がこのチャンスを物にすると、同15分にも湘南がハイプレスを仕掛け、敵陣でボールを回収。町野のスルーパスに反応したMF阿部浩之が札幌の最終ラインの背後を突き、ゴールを挙げた。

湘南は一時リードしたものの、大岩一貴と舘幸希の両DF間を、札幌のFW小柏剛に突かれてしまう。

後半25分、このスペースに走り込んだ小柏がDF田中駿汰のクロスにヘディングで反応し、同点ゴールをゲット。同30分にも札幌がセンターサークル付近でのボール奪取から速攻を繰り出すと、MF浅野雄也が勝ち越しゴールを挙げた。

後半42分には途中出場の札幌MFスパチョークがミドルシュートを突き刺し、勝負あり。湘南は直近のリーグ戦6試合勝ちなしと、泥沼にはまっている。

北海道コンサドーレ札幌 MF金子拓郎 写真:Getty Images

湘南が犯した守備エラー

湘南の1失点目の場面では、MF平岡大陽が最終ラインに吸収されて6バック化した結果、札幌のMF金子を包囲できず。平岡とDF畑大雅(左ウイングバック)でL字の守備隊形を作り、金子の縦横両方のドリブルコースを塞ぎたかったが、これをできずにクロスを放たれてしまった。

ここでは湘南のDF杉岡大暉(3バックの左)のポジショニングも曖昧になっており、ゆえに札幌のMF浅野のペナルティエリアへのランニングを許す形に。平岡が浅野を捕捉しようとした結果、湘南は6バック化してしまった。同じく金子がタッチライン際でボールを受けた後半4分にはL字の守備隊形を敷けていただけに、湘南としてはもったいない失点だった。

湘南は1失点目の場面で、このL字の守備隊形を敷きたかった

また、札幌の2ボランチ(宮澤裕樹と荒野拓馬の両MF)が最終ラインやその付近に降りてパス回しに加わった際の、湘南の守備プランも曖昧に。基本布陣は札幌と同じ[3-4-2-1]だったが、宮澤と荒野に湘南の2ボランチ(茨田陽生と奥野耕平の両MF)がマンツーマンで付くのか、それともハイプレス自体を諦めるのかの判断が、チーム全体として統率のとれたものになっておらず。ハイプレスを仕掛けたい前線やウイングバックの選手と、ミドルゾーンや自陣後方で守備ブロックを敷きたいそれ以外の選手が混在したことで、試合全体を通じ隊形が間延びしてしまった。


湘南ベルマーレ 山口智監督 写真:Getty Images