元自衛隊幹部らの指摘について
確かに日本の反撃能力(敵基地攻撃能力)については、現状では上記元自衛隊幹部らの指摘は否定できないであろう。米軍と自衛隊を比較すればその情報量において開きがあろう。しかし、日本は戦後初めて長射程ミサイルなどによる反撃能力の保有を決断したのであり、これからその強化と有効性を高めていく途に就いたばかりである。
したがって、反撃能力について、現状では米軍の豊富な情報量に依存する割合が大きいとしても、今後は多数の超高性能偵察衛星・多数の各種無人偵察機・超高性能レーダー網・イージス護衛艦等の抜本的強化により、日本独自の反撃能力に必要な情報量も増大していくから、日本の高度な先端科学技術水準をもってすれば、少なくとも北東アジアにおいては、米軍の情報量に匹敵またはこれを上回る情報量を日本自身が保有することは決して不可能ではないと言えよう。
また、日米共同声明の「米軍と自衛隊のシームレスな統合」とは、日米の抑止力・対処力を一段と強化するための、有事の際の軍事上の緊密な連携協力関係の強化を意味するものであり、独立国日本の自衛隊が米軍の指揮下に入り、主権の一部を米軍に差し出すことを意味しない。
軍事上の緊密な連携協力関係の強化は軍事的合理性を考えれば当然のことであり、双方の連携協力がなく指揮がバラバラでは有効な作戦を遂行できないのは軍事常識である。日本は独立国として、米国との「集団的自衛権」においても、あくまで日本の国益最優先で行動することは言うまでもない。
共産党の根強い「対米従属論」以上に述べた共産党の「米軍指揮下の自衛隊」「日本の主権の一部を米軍に差し出す」との断定は、同党の根強い米国敵視の「アメリカ言いなり論」「対米従属論」に基づくものである。その根底には党綱領で規定する「日米安保廃棄」がある。
共産党は「戦争法」と称して米国との集団的自衛権に反対し、日米安保を廃棄し、自衛隊を解体し、旧日本社会党と同じ平和外交一辺倒の「非武装中立」で日本国と日本国民の安全を守れるなどと主張するのである。
この主張が日本国および日本国民の安全にとっていかに危険極まりない非現実的主張であるかは、核大国ロシアによるウクライナ侵略、核保有国中国の軍拡と覇権主義、台湾有事、尖閣有事、核保有国北朝鮮の核ミサイル開発など、北東アジアの緊迫した安全保障環境を考えれば余りにも明白であると言うほかない。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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