前のめりになっていた日テレ

 脚本を担当する相沢友子さんは昨年12月、自身のInstagramアカウントで

<最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました>

<今回の出来事はドラマ制作の在り方、脚本家の存在意義について深く考えさせられるものでした。この苦い経験を次へ生かし、これからもがんばっていかねばと自分に言い聞かせています。どうか、今後同じことが二度と繰り返されませんように>

と投稿。9話・10話の脚本は自身が担当していない旨を説明した。

 これを受けさまざまな憶測が飛び交うなか、1月に芦原さんは自身のブログ上で経緯を説明。ドラマ化を承諾する条件として、制作サイドと以下の取り決めを交わしていたと明かした。

<ドラマ化するなら『必ず漫画に忠実に』。漫画に忠実でない場合はしっかりと加筆修正をさせていただく>

<漫画が完結していない以上、ドラマなりの結末を設定しなければならないドラマオリジナルの終盤も、まだまだ未完の漫画のこれからに影響を及ぼさない様『原作者があらすじからセリフまで』用意する。原作者が用意したものは原則変更しないでいただきたい>

 芦原さんは、これらの条件は<脚本家さんや監督さんなどドラマの制作スタッフの皆様に対して大変失礼な条件>であると認識していたため、<この条件で本当に良いか>ということを原作漫画の発行元である小学館を通じて日本テレビに何度も確認した上でドラマ化に至ったという。

 前出と別のドラマ制作スタッフはいう。

「そもそも論になってしまうが、原作者がドラマ化を承諾するにあたり日テレサイドに提示していた条件を読む限り、日テレは制作を見合わせるべきだったと感じる。現実問題として、ここまで厳しい条件でドラマ化を進めるのは無理だろう。また、もし仮にこの条件がきちんと脚本家に伝わっていれば、脚本家は仕事を受けていなかったのではないか。もしくは、日テレが脚本家に対し正確に条件を伝えると引き受けてくれないと考えて、あいまいにして伝えたのかもしれない。その意味では、人気漫画を原作に据えたい日テレと、ドラマ化によって販売部数を伸ばしたい小学館が前のめりになりすぎたあまり、結果的に無理が生じたのではないか」