これは噂の域を出ないが、中国国内には既に人口の数倍の住宅が存在していると言われていて、その殆どがただマンションの外殻だけを建設しているだけと言われている。

また不動産への先行投資、地方債、企業の社債、個人のローン、地方行政区のインフラ整備、中央政府のIT産業関連の企業融資、シャドーバンクの負債を含めると誰もその実態を掴んではおらず、中国経済全体の負債総額は実に1京円を軽く超えているとも言われている。

問題はこの負債を誰が払っていくのか?ということだ。

国内経済の屋台骨を支えてきた不動産投資に関しては、巨大な不良債権が重圧となっており、中央政府が人民元を発行して助けるか?と言われれば、その可能性は限りなく低いと言わざるを得ない。

中国がデフレに突入した国内経済のテコ入れをするには、政府支出しかないのだが、そもそも習近平とその周辺は、資本主義経済と金融政策を熟知しているとは言い難く、中国の国債発行で資金調達する頭は無いだろう。ましてやこれまで市場の金融機関の多くは不動産投資に預金を回しており、地方政府の債権保有が不良債権化する可能性が極めて高い。

金融機関の地方債への投資、インフラ整備と不動産への投資、不動産は建設前の資金調達で新たな不動産建設という循環で市場のマネーを循環させていたのだが、繰り返すがそれは不動産価格が上昇し続けるという大前提があるから。

ゼロコロナという最もやってはならない愚策を執ったことで、より国内経済のデフレに拍車をかけてしまった中国政府は、禁じ手の国債の直接引き受けの手段に出ている。これが世に言う財政ファイナンス。つまり、中国政府が発行した国債を中央銀行に直接引き受けさせ、発行した人民元を地方にばら撒くと言うことをやった。

中国、地方に2兆元支給へ 資金の流れ把握し企業・住民を支援

今の中国で残されているのは、この手段しかない。

これは著しい国債の高騰を招く恐れがある。つまり、今の不動産投資の不良債権化を解決するには、政府が直接介入して不動産会社を国有化し、国債を乱発して人民元を大量に発行するしかない。これが、スタグフレーションを生む大きな要因だ。

民主主義国であれば、国債を一旦、市場で売り出し、市場から中央銀行が買い上げると言う手法をとる。つまり国債金利を市場がコントロール市場原理に基づいて政府の過度な政府支出の乱発が抑制される。ところが中国がやろうとしている国債の直接引き受け、財政ファイナンスだと、政府の負債を紙幣の乱発で賄おうとするから、当然、過剰な資金供給となる。

また、市中の金融機関は、不動産への莫大な投資が響いて、国債を買いたくても買うお金が無い為、そもそも国債の金利を抑制する市場原理が働く余地が無い。

したがって、政府は国債を直接中央銀行に買わせ、それで得た人民元をそのまま地方にばら撒く付け焼き刃しか、選択肢が無いことになるのだ。これが今の中国政府の政府債務が急上昇している原因とも言えるだろう。

以後、

誰も幸せにならない仕組み 幼稚な習近平よ何処へ行く

続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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