ここ数年、中国海警局の領海侵入が常態化していることは周知だが、これらの背景にあるものを邪推しながら、日本はどうあるべきかを考察してみたい。
尖閣沖 中国海警局の船2隻が領海出る 25時間余にわたり侵入
9月19日には日本のEEZ内で中国が設置したと見られる海上ブイが発見され、松野官房長官が明らかにするという事案が発生した。
中国、日本のEEZ内に海上ブイ設置 松野長官明らかに
一方、中国経済の流動性の要であった不動産投資会社の恒大集団が再建に向けて新規債権の発行を目指していたが、困難であると発表し、中国の不動産市場の窮状が改めて浮き彫りになっている。
中国恒大、当局調査で新規の債券発行困難に 債務再編案に影響
これらは習近平が内政問題解決に向けて打つ手を失いつつあることを露呈しているとも言えるだろう。恒大集団のみならず、中国の不動産大手である碧桂園控股は、今後1年間に日本円で総額2兆円規模の債務返済を抱えており、ドル建て債や国内向け債権の返済が次々に迫っている。
碧桂園控股は手元流動性(現金)は約2兆円程度は確保していると強気の姿勢を見せているが、対ドル人民元は上昇に歯止めがかかっておらず、今後、手元現金が予想を上回るペースで減少することが考えられている。
情報BOX:中国不動産大手の碧桂園、債務危機のポイント
これは碧桂園控股に限ったことではなく、恒大集団に続き、今後、他の不動産大手に波及することが問題視されている。
上海に拠点を置くアパマンショップベターハウスは、上海を中心にコロナ禍で大きく減少していた外資系企業の物件登録件数の増加が顕著であると報じているが、現実にはコロナ禍前に戻るには更に長年月を要する見込みだ。
1~8月 中国新規外資系企業が33%増
以前に拙稿でも触れさせていただいたように、中国の国内経済における流動性の要であったのが不動産投資であり、その屋台骨を支えていたのが、地方における個人資産の不動産投資だ。
中国人は預貯金や株式投資ではなく利回りの大きな不動産投資に資金を投じていて、それらを使って地方のインフラ整備、不動産会社の債権購入による過剰な住宅建設を行ってきた。これらが不動産業に関わる人たちへのトリクルダウンになっていたのだ。
中国経済は曲がり角ではなく行き止まりにいる中国国民は不動産価格は上昇し続けるものだと思い、また、自分の購入した不動産がお金を産み続ける投資資産であると思ってきた。
それが僅か10数年で弾けてしまったことになる。