「僕はね、児玉さん。中国人になりきれない中国人で、日本人になりきれない日本人なんだよ」
中国で生まれ育ち、日本に帰国後はトヨタに採用されながらも会社の枠には収まらなかった傑物。日中両国で長年暮らしながら、どちらにも確固とした居場所を見つけることの出来なかった根無し草。
本書は幼き日に中国共産党の独裁統治に苦しみながらも、後年はトヨタの中国事務所総代表として共産党幹部に食い込みトヨタの中国戦略を縦横無尽に展開した功労者、服部悦雄の人生を綴ったノンフィクションである。
「きれいに死ぬよりも、惨めに生きたほうがまし」